ゴールデンウィーク、祝日の谷間やっと行けたネイリストさんのところで、爪を春らしい緑に変えてもらった わたしの本名は、翡翠に由来している子どもの頃は堅く感じていやだったけれど、留学中、何人もの中国から来ていた子たちに美しい字だと褒められ名前の…

ビフォーアフター新しい事務所を、静かに始動させた 写真ではほとんど見えないのだけれど実はあちこちがボコボコ、汚れも目立っていた壁に青みがかったやさしい緑の壁紙一気に思い描いていた空間に近づいて、好きな色というのは偉大だと、しみじみ思った も…

週はじめのストックホルムは超のつくレベル、と言ってもいい快晴 それなのに終わらないデスクワークにため息をつき、ホテルの窓から、建物の狭間の細長い空を見上げるふと、自分のため息があまりにも、絵に描いたみたいだったことに気づいて笑ってしまう 出…

2020年2月以来のデンマーク、そして、スウェーデン なにから話したらいいか、わからないとくにスウェーデンは、しょっちゅう訪れていたわけで留学前から考えても、こんなに間が空いたことはなかったからだ 親しんだ土地、親しんだ言葉なのに最初の晩は頭がま…

晴れ渡ったイースター・サンデー地下鉄を乗り継ぎ、キュー・ガーデンへ 昔、妹とふたりでも訪れたことのある場所を4人になった妹家族と、5人で歩くわたしは店をはじめて6年目、姪たちはこの世界に来て6年目と1年目妹夫婦は転勤でイギリスで暮らすことになり…

羽田から15時間、東まわりに飛び降り立った朝6時半のロンドンは、快晴だった いつもの貸しアパートで、スーツケースを開けて整理を済ませさっそく光のなかに出ていくこの町でのこの天気が貴重なことは、わたしなりに、身に染みてわかっているつもりだ 用事を…

新しく借りた、小さな事務所の鍵を受け取り喫茶店でホットケーキを食べて自分の店を開ける時間まで、桜並木を歩く 6年目も終盤にして、ちょっとした変化大学を卒業するともう“門出”はないと思っていたけれどこういうささやかな船出は、わたしにもある 店の鍵…

静謐な佇まいに惹かれて手に取ったハン・ジョンウォン『詩と散策』 驚き、という表現が正しいかはわからないけれどこの本に出会って三日、消化しきれない感情が、ふつふつと湧いてくる本当に心を揺さぶられるものと出会うと、狼狽えてしまって、説明ができな…

何を書いていいか、という感じだけれどこのところの忙しさに、とりあえずは一区切り 忙しかった理由のひとつが、オンラインショップで今回はちょっと、前例がないというレベルだったまずなによりも、こうしていられることがありがたいとは思うものの、それは…

届いたヴィンテージ品を開けているとたびたび出てくる、解かれたクロスワードパズルディーラーさんを思い浮かべてふっと気持ちをゆるめ、また次を開ける ゆるやかなネットワークにのって国境を越えるものたちに思いを馳せる、瞬間 今年は確定申告を早く終え…

フォークリフトはないかと問われていた、件の荷物がとにもかくにも、届いた 今回は、長方形のトレーに新柄が三種一刻も早く見たくて、当たりをつけて開梱した三柄三様、やっぱりどれも素敵で、これまでの大変だったことなど全部飛んでいった この絵を描いて…

遠く高く透ける空にほとんど光のような山茱萸 梅の賑わいからすこし離れた場所にあるこの木を毎年、ひっそり愛でている春のはじまりの花だ 仕事場の共用スペースにあるベンチに日本のあちこちに向けて旅立っていく箱たちを積む日曜から、ずっと梱包に追われ…

春のはじまりらしい、暖かい日またひとつ、歳を重ねた 朝8時台から、友人たちがLINEやメールをくれて通勤途中や仕事前に、わざわざ連絡をくれたのだなあ、とほくほくしたのも、束の間急を要する仕事のメールも、届く 常軌を逸した量のトレーやコースターが、…

事務作業の日々今年度の確定申告もいよいよ佳境で、今週は文字通り、目が回るような忙しさだった いただいたお菓子でひといき疲れた頭には、甘いものがなによりも効く 食べながら作業することはせず、可愛いパッケージを眺めてお客さんとの会話を反芻したり…

雨の日曜日強風に傘を持っていかれそうになりながら、仕事の前に、花屋へ ケースの一角から選んだ、パステルカラーの花々を仕事場でカットして揃え、まるく束にするとくに心得のないわたしだけれど、明るい花に触れて、ああでもないこうでもないとやっている…

雨の朝 いつもと変わらない部屋を見渡して変わらないことに、ほっとする近ごろは、とにかく夢見が悪く、さらに悪いことには現実との境界が曖昧なので夢のなかから戻ってくるのに、何秒かかかってしまう ポットのスイッチを入れ、お湯が沸く音を聴きながらま…

『わたしは』と、月が言いました。『前にポンペイの話をしてあげたことがありましたね。あれはいきいきと生きている都市の列のなかにおかれた、都市の死骸です。だがわたしは、もうひとつ別の、もっとめずらしい都市を知っています。それは都市の死骸ではな…

中学一年生の子たちがワイワイと職場訪問にやってきた 女の子がふたり、男の子がふたりキャー!かわいい!全部ほしい!と大騒ぎの女の子たちとこの店ひとりでやってんの?すげえ、とそれなりに楽しげな男の子そして、一切のやる気を見せない男の子の組み合わ…

冬晴れの伊豆へ 今年は仕事が思いのほか忙しいらしい彼も、なんとか、一泊来てくれることに一緒に青々とした駿河湾と、さまざまな形の岩を眺め、宿のビュッフェで美味しいものを好きなだけ食べた怖いくらいの贅沢だ 飛ばされそうな風も、砕ける波の飛沫も海…

降り積もってゆく雪に、なかば怯えながら明け方近くまでお喋りをしていた、昨晩 なんだかんだ、早朝にすっきりと目覚めブラインドを上げると、目が眩むような明るさ雪がベランダに、厚く15センチほどは積もっている 仕事の前に散歩をすることにして、氷点下…

デスクワークをひと段落させて、店の近くの花屋さんに立ち寄る 隅っこにフリージアが三本お値段を訊くと、もう葉っぱもなくなってしまっているので一本五十円でいいという なんだか申し訳なくなりながらも、三本とも連れ帰り気に入りの花器に飾って、ビュー…

積み残した仕事を、違う場所でやりたくてコーヒーが美味しいカフェへ向かった、夕方 結構な距離を歩いていったのだけれど店は冬休みで、閉まっていたうちも来週が冬休みだものねえ、と独りごち、とりあえず、大通りを夕陽に向かって歩く 店に入ると思ってイ…

自宅に届いたチューリップ日中も眺めていたくて、結局店に連れてきた 毎年のことなのだけれど、1月は、驚くほどに店がすいている12月は毎年新鮮に驚くほどに混むので、反動というか、これが人の流れなのだろうなと、思う そういう今、ゆったり店に足を運んで…

山茶花の季節大通沿いの、背の低い植え込みも、あざやかに花をつけている オンラインショップの仕事の合間に、美容室へ祝日で父がめずらしく家にいたので、贅沢に送り迎えをしてもらう 家に着いた瞬間、はい、1500円になります、と言われたので笑って、父を…

さて、2023年 わたしはというと、元旦から仕事と、いうのも、大晦日時点での店の在庫リストを作る、いわゆる棚卸がまったく終わっていないからで1日、2日、そして4日と、その作業に明け暮れていた そもそも、昨年の仕入れのリストが途中で終わっていたのでま…

年末年始の買い物で、街に出なくてはいけなくてなかなか仕事を始められなかった午後 最低限の片付けをしながらなんだかぼうっとしてしまって、暮れていく店を眺める自分で作ったこの場所は、ときどきこうしてカイロのようにじんわりと、疲れた心をあたためて…

一週間の仕事をなんとか終え、ひと息最後のお客さまにいただいたコーヒーとお手紙に、胸がいっぱいになって、思わず涙してしまう こういう気持ちを覚えておきたい、大事にしたいそう思う瞬間の、なんと有難いことか ひとりで、そして誰かと淡々と、ときには…

夏ごろから考えに考えた末、やっぱりわたしの手もとにあってほしいと決めた絵がウェールズから、はるばる届いた この絵に強く惹かれたのは普段は静物画、とくにテーブル上の切り花をおもに描いている画家の方がこの日は太陽の下、コテージの庭で、心の向くま…

ずっと楽しみにしていた、小さな旅先月彼が、ひさしぶりに淡路島でも行く?と言ったのをきっかけにレンタカーを借りて出かけることになった 明石海峡大橋を渡って、サービスエリアで美味しいごはんを食べ、それで、淡路島のどこに行きたかったの?と訊いたら…

“From all sides they come, an incessant shower of innumerable atoms composing in their sumwhat we might venture to call life itself.” 日本語に訳して紹介することもある、ヴァージニア・ウルフの言葉やっぱり英語のままが、いちばん美しく、真に迫…