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すこし生まれた空き時間に
家から持ってきたチーズケーキ

中庭に面した窓から、夏のような光
小さく切り取られた鮮やかな青空に、
休園している植物園で咲いているであろう花たちを、思う


京都も観光地などは、わからないけれど
緊急事態宣言が出てからというもの、周りはわりに静かだ
店も、それなりに予約は埋まっているものの、
そもそも、全枠埋まったとしても日に12人までだし
気を遣ってくださるお客さんばかりで、ひっそりとやっている

それでも、状況がよくなる気配もないので
来週は休みを取るか、ずっと悩み中
宣言が延長になるんだったら、開けていてもお客さんは少ないだろうし
そもそも2月以降忙しく、休みらしい休みの日はほぼなかったから
いっそスパッと休んでしまったほうがいい気がしてきた


綱渡りをするにあたって、
落ちる確率を限りなく低くできるラインを探す、という感じで
心のふちが、日に日にすり減っていっている気がする
まあ、でも、今はどこもそうなんだろう

吹き抜ける風
窓をなるべく広く開けなくてはいけない今は、
からりとした晴れの日が、本当にありがたい

 

先日あれほど、電子書籍のセールを我慢したのに
講談社学術文庫Kindle本50%還元セールに、まんまと落ちてしまった
本のまとめ買いで、こんなにはしゃぐとは

結局、10冊ほども買ってしまって、
今度はKindle Paperwhiteが欲しくなっている
だって、iPadスマホで長時間読むと疲れるんだもの

セールで得たポイントを、Kindleに注ぎ込む
それはそれで、いい使い方だというような気もする


欲しいものを考えると、今はまた本だなあ
今年の春は、月に1枚か2枚、なにかしら洋服を増やしてしまっていたりして
身につけるものを買いたいターンに入っていたけれど
(逆に昨年の秋冬は洋服は一着しか買わなかった、極端)
すこし落ち着いたのかも

この非常時の自分の浮き沈みを、
冷静に、ちょっとだけ面白がりながら、外側から見られたらいい
これは、欲しいものの話ばかりではなく

次はいったい、
どんなターンが来るのかしらね

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連休の中日
混雑を避けるべく、あえてきょうを営業日にしたお隣さんとともに
わたしも、店を開ける

休業するか迷ったけれど、
どのみち予約制で、限られた人しか来られない
そして、この状況ではその予約も全枠は埋まらないわけだからと、
結局、細心の注意を払い、静かに開けることにした 


ゴールデンウィークは、毎年
前半は休んで、後半は臨時営業していたけれど
今年は、通販のもろもろも合わせると一日も休まない

仕事があることが本当にありがたいし、
働いているほうが余計なことを考えなくていいというのもある
なので、つまり、好きで働くんだけれど
やっぱり、どこか麻痺しているような気もする


日々、正解がない選択を迫られながら、
通販も、仕入れも片づけもあり、仕事は積みあがっていく
こういう人は全国に多くいるんだろうな、きっと

この渦の中にいるのはうちだけではない、という事実は
けして、わたし個人の何かを軽くするものではないけれど、
それでもときどき、気持ちを支えてくれる

 

きょうは、韓国語を学ばれているというお客さんと、
さまざまな話ができて、元気が出た
それも、自分だけではないんだな、と思うからだろうか
自分の専門外の外国語の話は、
軽やかだけれど、痛いほどわかることもあって、楽しい

韓国語のかたわら台湾語をやってみたら、日に日に上達する喜びを感じて
韓国語の見方も変わって良かった、というようなことを聞き
自分にとってのアイスランド語を、思った
ルンドの大学で苦し紛れに始め、とにもかくにも単位を取ったアイスランド語
わたしにとって、スウェーデン語を使って学んだ最初の言語で、
まさに、すこしずつ読めるようになるウキウキをくれたし
頭のなかの構造を、変えてくれたような気がしている
その方にとっては、それが台湾の言葉だったのだね

いろいろなことを思い出させてもらえる、
そして、こういう感覚を分け合える機会は、本当に貴重だ

それにしても、
随分前に寄稿した外国語についての記事でわたしを知ったと伺って、驚いたけれど
わたしがこうしてずっと語学を続けている人間だと
覚えていてくれたということが、もう嬉しいな
とくにSNSでは、もはやご存知の方は少ないんじゃないだろうか

そういえば、長く来てくださっているお客さんに、
民族舞踊をやられているというご姉妹がいて
その方に声をかけていただいたときも、
ああ、わたしが勉強していたことをご存知なんだ、と嬉しかった
(写真は、その方にいただいたお菓子の箱で、物入にして大事に取ってある)

なんということもないことを書いて、そっと埋めておいたものを
掘り起こしてもらったような気分


この状況になって、むしろ取引先や友人と連絡を取る機会が増え
スウェーデン語は毎日読んだり書いたりしているから、問題はないものの
ほかの言語は、もっとまとまった時間をつくって勉強しないと、
忘れるとまではいかなくとも、筋力が落ちてしまう

ちゃんと、がんばらなくてはね、と
気持ちを新たにした、きょうでした

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ひさしぶりの、まる一日の休み
ひょっとして2月以来だろうか

朝から、クローゼットの洋服を選びやすく並べ替え、
そのわりには適当な出で立ちで、散歩に出る
そういえば去年の今ごろも、
繊細な服はぜんぜん着ていなかったな
店を閉めていて、着る場所もなかったんだもの


一年が経った
また閉ざされた道路の真ん中に立って、
欅のあざやかな緑を見上げる

先の見通しもなく、状況もよくならないまま
もがいて過ぎた、一年


それにしても、今週は本当に厳しかった
昨年の6月に、予約制で店を再開して以来、
こんなに大変な週ははじめてだ

うちでも、ただただ竦み上がるような打撃なのだから、
もっと影響がある業種の人の苦しみを思うと、居た堪れない

立っていられるだけの気力が
いったい、いつまで持てるのか

 

きょうは、本を読み、ピアノを弾き
編み物をして、すこしドイツ語の勉強もした
あとは、スピーカーで音楽を聴いたり、動画を観たりするくらい
こういう日が、わたしにはやっぱり必要だと思う


去年もそうだったけれど
今年も、思い入れのあるアーティストの新譜がいろいろ出ていて、
それがひとつの救いになっている
レイキャヴィークのCD屋で出会ったSin FangやSóleyのユニット
ロンドンの大学前のカフェでよくかかっていたLondon Grammar
毎日ノルウェーのラジオを聴いていた頃に知ったMinor Majority

何年も愛しつづけている人たちの、新しい曲は
音だけに浸る時間をくれる
ひとときでも、結局苦しみは和らがなくても、
それでも

そとで鳴る風の音も、不穏な気持ちのざわめきも、
絡めとって背景にしてしまう
わたしにとっての音楽には、そういう力があって
ずっと、それを信じている

 

Team Dreams - Imaginary Love

 

London Grammar - How Does It Feel

 

Minor Majority - It Doesn't Matter, It's Ok

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関西の状況があまりにも良くなく、
空き時間が増えている、わたしの店

17時でも、まだまだ明るい
その後予約が入っていないのをいいことに閉め、
ひとときの散歩へ


新緑は、きょうも
眩しいという以外に形容しようがないほど眩しい

人生の置きどころをなくしたようなわたしにも、
外に出れば、きらめきは平等にやってくる

 

カフェで仕事をして、日記を書き、本を読む
近ごろひたすらにお世話になっているカフェは、
紅茶をポットで頼めるところも
たっぷりとミルクをつけてくれるところも、気に入っている

自分が書いたものに向き合う
わたしはわたしでしかいられないことに絶望もするけれど、
だからこそ、手は伸ばしつつ、
どうしようもなく個人的なものを生んでいたいと思っている

こうして、ずっと何年も、
誰が読んでいるのだろうという日記など書いているわけだから
本当に今さらなことなんだけれど


先々月、迷っていたときに出会った、
庄野潤三の本 山の上の家』という一冊
そのなかに、実のあるものーわたしの文章作法、という短い一編があり
その柔らかさと懐の深さに、光をもらったような思いだった
素人なりに大切にしたいものが、そこにはあったから

いつものカフェで、いつもの小さなテーブルの上に
あのときこれが置かれていなければ、と
その後自分の棚にも並ぶことになった本を見て、思う
出会いが向こうからやってきてくれるようなことも、
こんな風にして、あるのだね

 

今週はずっと、夜中までマグカップの梱包をしていた
3巻入りの梱包用テープのパックを3日でまるまる使いきり、
慌てて注文するような凄まじさだった

もちろん、経営上がんばらなくてはということもある
だけどそれ以上に、ものを届けたい思いが強かった
そもそも、陶器は輸入も通販もハードルが高いわけで
いつも思いは強いけれど、今回は、とくに


厳しいことばかり
それでも、愛しているもののことなどを思って、
心を強く持つしかないのだ、たぶん

明けない夜は本当にないのか
まだ、わからなくても

 

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昨日の営業前
仕事場へとつづく階段を上がると、
大家さんと、産休明けのお隣さんが、揃って待っていた

噂をすればー!これどうぞ、と
お隣さんが、試作品のお菓子が入った袋を手渡してくれる
えっ、いいんですか、とびっくりして言うと
いいの、いちど練習で作っておきたかったから、と笑ってくれた

大家さんが、作業着姿なのに気がついて
どうしたんですか、完全に業者の人だ、とまた驚く
窓の外側の掃除、あとで行くんで、と事もなげに言うのでさらに驚いた
二階なのに、窓枠に立って普段手が届かないところまで拭いてくれるという
本当になんでもできる人だな


なんでもないことで、皆で笑う
全員ちょっと離れて、そしてマスク姿ではあるけれど、
賑やかな日常が戻ってきた

夕方の空き時間、大家さんが今度は
コーヒーいります?と、サーバーを持ってきてくれた
わたしも、お隣さんも、それぞれのカップを取りに行き
注いでもらったコーヒーを手に、ウキウキと戻る

9ヶ月ぶりに食べたお隣さんのスコーンは、
変わらず、世界でいちばん美味しかった

 

水曜に確定申告を終え、明日から通販で忙しくなるのを前に
今、あちこちの取引先と、オーダーの細かいところを詰めている
仕様が変わったり、はじめて買ってみるものがあったり、
実は、確認や話し合いが必要なことはけっこう多い

ベルリンにいる、取引先のような友だちのような人とは
ちょっとした会話が膨らんで、
新しいカラーバリエーションを作ることになった
本当はそうしたくても、今は訪ねていくわけにはいかないけれど、
サンプルを送ってもらい、ビデオ通話でどうするか決めていくことに
こういうことができるのだから、いい時代なのかもしれない

これはcrossover projectだよ、両方のロゴを入れたい、という彼の言葉が
わたしには勿体なく、だけどやっぱり嬉しかった
夏を待つ理由が、ひとつできたかな

 

店はいま、なかなかの苦境にあるけれど
ささやかなあれこれを、一緒に楽しんでくれる人たちがいて、
それだけで救われている

淡々として、でもうねるような情緒がある気もする
わたしのささやかな時間

4年をかけて作ってきた、小さな店に
きょうも、なんでもない日があることを
ただ、ありがたく思っている

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詰めの作業をしながら、
好物のバスクチーズケーキ

まだ、これからというところもあるけれど
きょうは、ひとつの仕事の小さな一区切り
ちょっとした贅沢だ

今度は、15日までの確定申告
9割がた終わっているから、なんとかなるだろうけれど
2月末からほぼそのままにしてあるので、不安
うーん、どうなっていたか思い出さなくちゃ

 

先週、病院に薬をもらいにいった帰り
馴染みの古本屋で、『プラハの古本屋』という本を買った
東欧の言語の専門家、千野栄一氏の
直接言語学には関係のないエッセイを集めたもの
題の通り、チェコが舞台の文章が主だ

これが、おもしろくて
目の回るような忙しさのなか、合間を縫って読んでいた
学者の方の、深く広い知識に支えられた淡々としたエッセイは、
こちらも淡々と読んでいるうちに引き摺り込まれて
背景などをどんどん調べてしまうような、強い力がある

1987年に出たもので、いまは絶版
先週あの店へ行かなければ、
ずっと出会うことがなかった本かもしれない

クンデラ、チャペック、ムカジョフスキーの構造美学論集まで
何冊も訳書を持っていて、さんざんお世話になっている方なのに
エッセイというと、意外に知らないものなのだなあ


当時はチェコスロバキアだったチェコの話にも、時代を思うけれど
意外に貴重だったのは、『アドリアの海から』という一編
1977年に、雑誌『言語』に掲載された文章らしい

アドリア海岸のスプリットやトロギールという町、
そこで生き生きと暮らす人たちや、旅行者のこと、
言語や古本屋のこと
ユーゴスラヴィア内戦前の、クロアチアの断片

この頃のクロアチアの様子が書かれたエッセイは
これまで、ひょっとしたら読んだことがなかったんじゃないか
知り得なかったかつての街のあかるい様子に、
12年前に訪れたスプリットやトロギール
あちこちの建物に残っていた激しい銃痕を、思った


それにしても
わたしはその古本屋をとても信頼していて、
昨年秋の古本市でも、そこのブースで何冊も買ったけれど
よく考えると、店に足を踏み入れたのは、昨年の一月以来

寄ろうとしたけれど、店が休みだったこともあったし
とにかく狭いので、迷惑になってはという思いもあった
でも、やっぱり、こういう出会いの機会を逃しているのだな
もちろんお店にずっとそこにあってほしいし、
今回だってわずか数分の滞在でこの本を見つけたのだから
折を見て、もっと寄ろうと思う


そういえば、本のセールのことがツイッターで随分話題になっていたけれど
すでに電子書籍Kindleに漫画含め何百冊もあるわけだし
(怖くて数えたことがない、ぜったい何百では済んでいないと思う)
そもそも、紙の本も読めずに積んでいるものがあるから
わたしは今回はやめておこうとなんとか踏みとどまった

とはいえ、後ろ髪を引かれてもいる
本だけは、いくらあっても足りないね

 

今年は、昨年後半みたいに
腰を据えて大きな仕事をしている場合じゃない、
これ以上はもう働けない、という感じではなく
やれることはとにかく全て、時間をかけてやろうというだけの余裕はある
昨年よりは、いい働き方ができているのかな

あとは、半端じゃない散らかり方をしている、
店をなんとかしなければ、、、!


とにかく、確定申告を終わらせて、
来週の通販分の発送を乗り切ったら
すこし、ほんのすこし、なにもせずに休みたい

それを楽しみに
今は、がんばって走るぞ

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長くしぶとく咲いていた三椏の花が、ついに終わり
勢いよく垂直に、葉っぱが出はじめた

強くきらめく水面に、思わず目を細める
もう初夏の光だ


つい最近までちょこんと小さかったチューリップは、
あっという間に伸びて咲き揃い、そして開ききってしまった

毎年ゴールデンウィークに盛りの石楠花も
今年はもう、ずいぶん咲いていて
あまりの気の早さに、とまどう

今年はずっと、もう咲いてる、と驚いてばかりだけれど
このまま、全部が前倒しになっていって
いつか、今の感覚は過去のものになるんだろうか

 

花の盛りは短く、青空もつづかない
笑顔でカメラを向けていた人たちは、
あっという間にいなくなってしまう

そのことを、切なく思ったりもしていたけれど、
日々変わっていく葉や枝も、暗い日に滴る雨雫も
単に、わたしが好きで、見ていたいというだけなのだと
最近は思うようになった

多くの人はきっと、わたしよりもずっと
たくさんのほかのものを取り込んで、違う焦点で生きている
きっとそれだけのこと


忘れられても
また咲くと、人が集まる

そう思うと、また同じ季節が巡ってくる、というのは
なんて安心なんだろう

 

4月の前半までは
あれこれ〆切があったりで、とにかく忙しい日が続く

ほとんど毎日、すこしの時間でも見にでかける植物と、
作業をしているいつものカフェの静けさが、今のわたしの支えだ


きょうお会計のとき、カフェの店主さんに
いつも長居してすみません、
ここへ来ると集中できて本当に助かっています、と伝えた
それだけでも、わたしには勇気の要ることで
いえいえそんな、とマスクの下で笑ってもらえたことが、嬉しかった

うちに来てくれるお客さんも、何人かにひとり、
ありがとう楽しかったです、また来ます、と声をかけてくれたりする
皆が皆、わたしみたいにいちいち緊張する性格ではないだろうけれど、
それでもすごいことだと、あらためて思う


伝えようとする瞬間、伝えてくれようとする瞬間を
暗い部屋のほのかな灯のように、そっと大切に思っていたい

こんな今だから
ふと、消えてしまわないように