春のはじまりらしい、暖かい日
またひとつ、歳を重ねた


朝8時台から、友人たちがLINEやメールをくれて
通勤途中や仕事前に、わざわざ連絡をくれたのだなあ、と
ほくほくしたのも、束の間
急を要する仕事のメールも、届く

常軌を逸した量のトレーやコースターが、来週到着するので
物流会社から、どうしますかという確認
御社にて荷降ろしいただくことになりますが、
フォークリフトはございますでしょうか、とあって笑ってしまう
どこからどう見ても、個人事業主の輸入量じゃないものねえ

結局家を出るぎりぎりまで仕事
まあ、わたしらしい歳の幕開けだ

 

今年は、ちょうど誕生日が水曜だったので
休めるように、あれやこれやと手を回して、
アフタヌーンティーに出かけてきた

アフタヌーンティー自体、とてもひさしぶり
美味しいものを飲んで、食べる、というのもそうだけれど
天井の高い場所でゆったりと過ごせることが、なにより贅沢に感じた


最後に注文したお茶は、Morgentau、“朝露”という名前だった
さっぱりとさわやかな、でも繊細な味と香りで、
お茶の時間の終わりにも、歳のはじまりの日にも、ふさわしく思えた

ああ、あの年の誕生日はあの場所にいたな、と
きっと、何年かあとになっても思い返すに違いない
毎年この時期は忙しいから、あまり特別なことはしないのだけど
たまには、いいでしょう

 

“おめでとう”、“Happy Birthday”、“Grattis”
方々から届くたくさんのメッセージやギフトの宛先には、
当たり前なんだけれどわたしの名前があって
ちょっと不思議な気持ち

世界のあちこちで
この日、一瞬でも、わたしのことを思い出してくれている人たちがいる
そのことに、毎年胸がいっぱいになる

0時に電話をくれた彼は、お祝いの最初に
ずっとまっすぐに生きていてすごい、と言ってくれた
まっすぐかどうかも、それがほめ言葉なのかも、正直わからないけれど
けして器用ではないわたしにあたたかい目を向けてくれる人たち、
遠くからでも、ちょっと手を振ってくれたりする人たちに
ほんとうに心から感謝している


このところのわたしは、ご縁があって
ひとつ歳を重ねるごとに、ひとつ新しい経験をさせてもらっている
前の歳は、たくさんの人を前にお話をしたこと
その前は、雑誌に(わたしにしては)長い文章を書かせてもらったこと

だから、新しい歳も、
ひとつ新しい経験ができるようにがんばりたい
ちょっと具体的な目標

もちろん、お話も、文章も、
もっと頻繁になって続いていけばいいんだけどね
それはそれとして、自分から、新しいことにも挑戦します
わたし以外にはたいしたことじゃないのだろうけど、
それでもいいんだよ

 

 

きのう、美容室の前に15分ほど時間が空いて、立ち寄った本屋で
須賀敦子のアンソロジーを買った
底本になっている河出文庫の全集を全部持っているわけだから、
もちろん知らない話はないはずだけれど、
帯文を見て、誕生日に読みたいと即決だった

「人生ほど、生きる疲れを癒してくれるものは、ない」

過去から今に連なる自分自身を、
いやでも未来へ向かう人生を
迷ったとしても誠実に、できればまっすぐに
癒されながら生きていければと、願っている