2020年2月以来の
デンマーク、そして、スウェーデン

なにから話したらいいか、わからない
とくにスウェーデンは、しょっちゅう訪れていたわけで
留学前から考えても、こんなに間が空いたことはなかったからだ

親しんだ土地、親しんだ言葉なのに
最初の晩は頭がまだついていかず、混乱してうなされた
こういう風になるものなんだなと、
自分が自分じゃないみたいで、不思議だった


そんな中、きのうは朝から、
ずっと一輪挿しを扱っているガラス作家さんのところへ
彼女は英語がほぼ話せないので、
デンマーク語(もしくはスウェーデン語)で通すしかない

まあでも、結果的に
荒療治のようになってよかったな
引っ込んでいた気持ちを、無理やり前に出して喋っていたら
あっという間に、ほぼいつも通りに戻った

お隣の陶器作家さんも加わって、
お茶とともに、ものづくりやわたしの仕事の話
やわらかく豊かな時間だった

 

 

そして、きょうは半分を休みにして
朝から、ルイジアナ近代美術館に出かけてきた
留学中はもちろん、仕事をはじめてからもたびたび訪れている
世界でもっとも好きな場所のひとつ

メモをとりながら、ゆっくりと展示を見て回り、
変わらない庭からエーレスンド海峡を眺める
建物はもちろん、雰囲気も、ほとんどそのままで安心したけれど
カフェのメニューからは、いつも頼んでいたビュッフェが消えていた
苦しい時代、何も変わらないというわけにはいかない

そとの気温は10度
肌寒く、海はほのかに霞んでいる
そういえば、はじめてこの美術館を訪れたのは、
イースター休みで、ルンド大学の下見に来たときだった
あのときもこんな天気だったなと、なつかしく思い出した


駅に向かう途中、並んでいる三角屋根の家々を眺めて
この美術館と、海が、すぐそばにある生活を想像する
わたしの人生は、もちろんここにはなくて
だから、無責任にただ羨ましくなったりするんだろう

無性にもっと海が見たくなって、
気がついたら、コペンハーゲンへ向かう電車を降りていた
この国、この街にとっては客人のわたしでも
仕事が詰まってさえいなければ、これくらいはできるのだ

 

 

その後、コペンハーゲンでの予定を終えた夕暮れ
デンマークスウェーデンの国境の橋を、電車で渡る
それこそ、これまでに何十回も渡ってきた橋

ロンドンもそうだけれど
風景が身体に馴染んで、歯を食いしばらずにいられる
言葉を吸い込み、息を思いきり吐いて、
軽やかに過ごすことができる場所に
やっと戻ってこられたのだ、と思った


もう明日には、移動しなくてはいけないけれど
ここでの感覚を大切に持っていきたい

ブランクも、葛藤も、勢いよく蹴飛ばして
どうか、このまま