『グレーテルのかまど』の再放送8月の『100分de名著』に合わせてなのだろうけれど『モモ』に出てくる“金色の朝ごはん”がテーマで思わず見入ってしまった 金色の巻きパン、かがやくバターとはちみつマイスター・ホラがポットから注いでくれるチョコレート い…

パリ・レヴュー定期購読している雑誌は、これと、TATEの機関誌だけだ リディア・ディヴィスの、80年代のエッセイなぜ、ノートに細切れの文章を書くのか、という根源的な問いに、どっぷりと沈む 衝動、にまさる理由はないにせよ文章を推敲しながら、ほんとう…

古い版のドリトル先生ノーフォークを旅したとき、ノリッジという町の路地裏にある古本屋で、買ったもの 棚の低い場所にあったこの本をしゃがんで、丁寧に見ていたとき、イギリスの初夏らしい通り雨がやってきた 石畳を弾く水の音開け放していたドアから、ざ…

包み紙やらなにやらを本のカバーにするのが好きだ フェルナンド・ペソアの詩集にはポルトガルのお菓子屋さんの紙をかけている彼の国らしい、青い色 飄々としたペソアはざあっと吹き抜けていく風のようにわたしを、瞬間だけさらってくれる ペソアを知らなかっ…

月が出る鐘は消える通れない小路あらわれ 月が出る陸にかぶさる海はてしのないところで心臓は孤島の感じ 満月の下オレンジを食べる者いないみどり色の氷のような果物を食べる どれも同じ百の顔月が出るポケットの中でしのび泣く銀貨 長谷川四郎訳『ロルカ詩…

雨の降らない雷の午後 いつもより、すこしゆるやかな でも、忙しい土曜日結局、先週届いた大きな荷物は 全部は開けきれないまま、 先に、ほかの荷物を全部ほどいたすこしずつ、溜まっている仕事を消化して そうして、静かに営業をつづける 自分の小さな店で…

17時をすこしだけ過ぎて 予報にはなかった雷雨が、近づくころ 空白のような時間が、突然、降ってきた積み上がっている、発注やら、メールの返信やら もろもろの仕事を脇に置いて しばらく、本のつづきを読むことにする グレアム・スウィフト『マザリング・サ…

陽の落ちた、見慣れた道 煌びやかなツリーが飾られた、ショーウィンドウイヤホンから流れていた、マルーン5の新譜を ジョン・メイヤーのいつかのアルバムに、変える きのう読んだ本に出てきた、 ジョン・メイヤーのライブTシャツの、生き霊ふわふわとした、…

台風一過には遠い、空の下 ゆっくりと、いつもの道を歩く嵐のあと 春とはまた違う、泥の匂いがする 夕方から、シリア難民についての本を あたらしく、読み始める 途中でやめることができなくて、 結局、一気に中盤まで読んだ 危険を冒して、未来のため移動す…

灰色に曇った、夕方 灰色の室内から、気分を変えるべく、外へ晴れた日の散歩は、もちろんよいものだけれど 暗いこういう日に、ほとんど人のいない道を行くのも それはそれで、いい 落ち葉の香りのするベンチに座って しばらく、本を読む ノーベル文学賞を受…

よくあることといえば、そうだけれど 明日は早い時間から仕事だというのに 今の今、夜が更けるまで、一冊の本に熱中していたエリック・マコーマック『パラダイス・モーテル』 頁をめくりつづけ、ほとんど一気に読み切ったグロテスクな描写が苦手なわたしは …

無事に、天気予報がはずれ 妹夫婦と、送り火今夜は、まだ月が出ていなくて いつになく、星が、よく見えた まだ高いところを飛んでいる、飛行機が 点滅しながら、夏の星座のなかを横切っていく ちらちらと点きはじめた、大文字を横目に あれがデネブ、そっち…

朝から、スウェーデン語を二時間話し お昼を食べ、お店へ 夜は、多和田葉子さんの朗読会、という 頭がいっぱいの一日言葉のはざまで なるべくきちんと、泳ぐ 多和田さんの本は 小説もエッセイも、かなり読んでいる とても好きで、読みつづけている作家さんだ…

仕事場を、離れて 妹と待ち合わせしばらく、お茶を飲んで、話をして また、仕事に戻る 長いリストを作り、チェックを入れる毎日のなかで 自分はどんなことがしたいのか、考えてきたわたしは、こういうことがやりたい、よりも こういうことはやりたくない、の…

あいかわらずの天気 冬の強すぎる意志を感じる、暗さだいよいよ気分も鬱々としてきた、夕方 鞄に資料を詰め込み、外へ出る桜並木の川原のほうへ、ぐるりと寄り道 しだれ桜はまだ七分というところだけれど、 ソメイヨシノは、満開 - 合間合間に、すこしずつ大…

火曜日に買ったばかりの レイ・ブラッドベリ『恐竜物語』熱中して、あっという間に読み終えたけれど まだ、残響が身体の真ん中に、波打つように残っている恐竜が好きな子どもだった頃のわたし、 そして今のわたしに、まっすぐに向かってくる 力のある、どこ…

まだ、3月なのに この数日は、5月のことをずいぶん考えていた学生だったころも いつもいつも、2、3ヶ月先のことを考えていたけれど 仕事でも、まあ、そうなるよねとりあえず、きょうでひと段落ついたので 眠っているあいだも頭が休まらない生活から、脱する …

なにかが自分のなかで、 派手な音を立てて、ぷっつりと切れたなさけない話で わたしは、昔からこういうタイプなのだ 普通に走っていたくせに、突然倒れる、というようなことを いまだに、時々やってしまうスウェーデン語の先生と別れたあと 愉しいおしゃべり…

ロンドンで読み始めた、 丸谷才一編著『ロンドンで本を読む』 ようやく、読了読み終わるのが惜しくて、 後半は、一本ずつ、時間をかけて大事に読んでいた 書評集というジャンルなので、小説などと比べづらいのだけれど 最近ではちょっとこういうのは他にない…

ゾラは自分の未来にかんして、彼女の未来が必ずしも最優先事項ではない重要人物とのミーティングの予定を立てるのが大好きだった。人に知らせれば知らせるほど、計画が彼女にとってより現実味を帯びてくるからだ。 「外国みたいなもんだな、未来は」カールは…

植物だらけの喫茶店で、カフェオレを飲みながら ゲーテとカーライルの往復書簡を、ゆるゆる、読むもう三週間くらい ときどきこの書簡集を開けては、行ったり来たりしている ちいさな愉しみ ここに収められているのは 1824年から31年までの、手紙 ゲーテが174…

朝からひらひらしていた、雪が姿を消して 広がる、青空しばらくすると、また、大きな雲がやってきて 今度はあられが降りだした 紺色の襟巻きにくっついた、砂糖のような白い粒が 縁からじんわりと透明になっていくのを、 息をとめて、眺めた 隙間のような、…

The Paris Reviewの秋号が すでに冬号も出ている今、ようやく、届いたこの雑誌の、特にインタビューが、好きで ずっと読みつづけている しょっちゅうアーカイブを読みあさっては、時間を忘れるくらい 今号のインタビューは Ishmael ReedとJ.H.Prynne どちら…

ぼうっとしたまま、そとへ出て ポップな秋で目を覚ます天気雨が、降ったりやんだり ここまで気まぐれな日も、めずらしい ジェームズ・ジョイスは「イマジネーションとは記憶のことだ」と実に簡潔に言い切っています。そしてそのとおりだろうと僕も思います。…

初めて入ってみた、カフェで ジョン・バンヴィル『海に帰る日』を、読み終えるようやく、という感じ さらりとした手触りなのに、 読む時間が永遠にも感じるような、中々重たい一冊だった 思い出に生きる、初老の男 一文も見逃したくないと思うような、豊かな…

青空が広がった午後の 日が傾くまでの、二時間 色彩の変化が、身体に入っていく気持ちが振れて あちらこちらが、破れたあとを ひとつずつ見つけて、繕う しばらくの間 持ってきた、アン・モロウ・リンドバーグの本 人生訓のようなものは、好まないわたしだけ…

母が、きのう 『ミセス』の梨木香歩さんの連載に、 イギリスの鳥図鑑の話が出ているわよ、と、教えてくれた『遠くにかがやく 近くでささやく』という その連載の、最終回 『物語がいっぱい』という題の、二頁の短いエッセイは たしかに、ちいさな図鑑の話だ…

10月最後の日 派手に、体調を崩した土曜日に、たっぷり煮込んでおいた冬瓜を 火を通し直して、食べる 残しておいてよかったな、と やわらかくなった冬瓜を齧りながら、しみじみ この部屋には、テレビがない 普段は、あまりほしいと思わないけれど こういうと…

雲ひとつない これぞ秋晴れという、空 ワーズワースの詩集を持ちだし コンビニでコーヒーを買って、河原へ 陽当たりのよい場所に、一人用の席をつくって ゆったりと流れに浮かぶ鴨を眺める目を閉じても 瞼の裏で、光が揺れる あたたかい陽のなかを、風が横切…

夏が戻ってきたような、二日間 考えごとに疲れては、文庫本に逃避 きょう読み終わったばかりの本は 巌谷國士『ヨーロッパの不思議な町』 やさしいタイトルを裏切る、歯ごたえのあるエッセイ集巌谷國士は、美術、とくにシュルレアリスムが好きなら 知らないと…