ずっと楽しみにしていた、小さな旅
先月彼が、ひさしぶりに淡路島でも行く?と言ったのをきっかけに
レンタカーを借りて出かけることになった

明石海峡大橋を渡って、サービスエリアで美味しいごはんを食べ、
それで、淡路島のどこに行きたかったの?と訊いたら
あ、足を踏み入れたので満足です、という答えが返ってきた
その気持ちはまあ、わかる


どんどん雲が広がって、
とりあえず行ってみたビーチは、かなりの雨
遠くに短い虹が浮かんでいるのを横目に、
車の外に出ることなく、スピッツを聴き
これは止みそうにないねえと笑った

もう十年も前にブライトンで一緒に聴いた、『猫になりたい』が流れ
あの日はさんざんだったよなあ、と言い合う
これはなんというか、わたしたちの鉄板
冷たすぎる風と、水に落として壊れてしまったデジカメ、
バスでふたりして眠り着いてしまったイーストボーン、と
何度話しても飽きないエピソードがくっついた曲なのだ

ワイパーと雨粒、その向こうの海を眺め、
行こうか、とまた笑う
愉しい午後だった

 

 

神戸のホテルに着いたのは、思いのほか夜遅く
チェックインでわたし達を待っていたのは、
“空いているので”という理由で
部屋をジュニアスイートにアップグレードしてもらえるという
とんでもないサプライズだった

当然泊まったことなどない豪華な部屋に、
すごい、以外の語彙を失ってしまい
広い部屋のいたるところで、ごろごろごろごろした
常宿と呼べるようにしたいと思っている、朝食が美味しい大好きなホテル
まさかこんなことがあるなんて


翌日は普段のわたし達に戻って、
三年ぶりのIKEAを満喫しに行ったけれどもね
いやいや、本当になにもかもが最高だった

秋のすべてを労ってもらったみたいな小旅行で、嬉しかったな
降ってきたたくさんの幸運と、やさしいホテルの方、
いつもわたしを楽しませようとしてくれる彼に感謝している

それにしても
神戸の海も、夜景も、IKEAも三年ぶりなのだから
そりゃあ感慨深いはずだよねえ
これからは、また、
毎年のようにこういう日を過ごせればいい

 

強い存在感を放つ、美しい日を
あまりにも眩しいと感じることもある

だけど、変わっていくものごとを山のように抱えても
切なさを押し込めて、まだ、こうして笑っていられるのなら
けしてあたりまえではない、その全部を、
ただひたすらに、大切にしたいと思うのだ