フォークリフトはないかと問われていた、件の荷物が
とにもかくにも、届いた

今回は、長方形のトレーに新柄が三種
一刻も早く見たくて、当たりをつけて開梱した
三柄三様、やっぱりどれも素敵で、
これまでの大変だったことなど全部飛んでいった


この絵を描いている人と、仕事をしていると
わたしでも、ここに居ることに、
すこしは意味があるのかもしれないと思える
美しいものを生み出す人を、微力でも励ますことができること、
ものを作って、好きだと言ってくれる人たちに届けられること

つぎつぎに浮上してくる問題も、
めちゃくちゃかかるコストも
仕事だからもちろん、きっちりと考えないといけないけれど、
心の底では大したことじゃないと思っているんだよ

わたし個人にとっても特別なものが、またひとつ
これは、ますますトレー選びに迷うようになるな

 

ぼんやりと見ていた桜の開花予想
あっ、と、きゅうに我に返る
4月のあたまから出張に行くということは、
桜が盛りのときに、日本を離れないといけない

仕事上、どうしてもこの日程しかなくて、
花のことは頭から抜け落ちていた
そもそも、航空券を予約したのは12月だったから
実感をもって4月を思うこともできなかったのだ


忘れようもないことに対して鈍くなり、
無事に、そして効率よく仕事をしなくては、と
これまでは最低限だったことに全ての意識が行ってしまう
それは、けして桜の話だけではない

ああ、それにしても
今までそのことに気がつきもしなかったなんて、ねえ
満開を逃すかもしれないこともだけれど、
なにより自分がそういう状態なのが悲しい

一日でも長く見られるように、早く咲いてくれないかしら、と
勝手極まりないことを願いつつ
まずは、今月咲くあらゆる花を愛でよう
好きな花ばかりの3月なのだから

 

3月は、毎年
多くのお客さんを見送るときでもある
転勤や卒業で、関西から引っ越してしまう、という方々

きのうも、長く通ってくださっている方から、
もうすぐお引っ越しされるというお話を聞いた
いただいたお手紙を読んで、しみじみと寂しくなり
見送るばかりというのも切ないものだなあと、すこしだけ思った

でも、見送ることができる、というのは
ここに根を張っていられるからこそで、
わたしにとっては特別なことだから


この店にいるのは、わたしひとりで
それに対してお客さんは、もちろん何百人もいる
だからお客さんのほうは、覚えられているとは思っていないみたいなんだけれど
実は、何度も来てくださっている方や、
たとえば店頭でもオンラインショップの備考欄などでも
あたたかい言葉をかけてくださった方のことは
びっくりするくらいに忘れないものだ

店主とお客さんという関係は、不思議でもあるけれど
だからこその心地よい距離感がそこにはあって、
だからこその会話も日々生まれているのだった


お客さんが連れ帰ってくれたものたちが、
それぞれの生活の片隅にあって、一息つく時間を支えているのなら
ただただ、うれしい

新しい街の新しい部屋で、
やさしい人たちに、よりよい日々がありますように