晴れ渡ったイースター・サンデー
地下鉄を乗り継ぎ、キュー・ガーデンへ

昔、妹とふたりでも訪れたことのある場所を
4人になった妹家族と、5人で歩く
わたしは店をはじめて6年目、
姪たちはこの世界に来て6年目と1年目
妹夫婦は転勤でイギリスで暮らすことになり、わたしは出張
人生には、こういうことが起こるのだ


わたしの手を強く引っぱって跳ねる5歳の姪に注意すると、
彼女は手を離すまいと、余計に指先に力を込める
もうこんな力を出せるようになったのか、
つい最近生まれたばかりの気がするのに、と
あらためて不思議な気持ち

時間ははっきりと確認できる唯一の概念、というサガンの言葉を
ぼんやりと思い出す
たしかに、そうかもしれない

 

マグノリアの前で、思わず立ち止まる
大きな大きな3本の木が、それぞれの色の花をつけていて
その下は枝と花の影に守られているようだった

小さな姪を抱く妹の写真を撮ったり
大きな姪が欲しがったので買った、
にんじんのうさ耳カチューシャをつけた義弟に笑ったり
ほのぼのとした時間

大きな花びらがはらはら落ちるところを見上げ
落ちた花びらを拾い集める姪を追いかけた
彼女が差し出した2枚の花びらを、ハートみたいね、と言うと
大きさや色が揃っている花びらを懸命に探して、
ちゃんとしたハートを作り、渡してくれた


妹が、いつか走馬灯に見そう、と言ったマグノリア
もう一度、一緒に見上げる
わたしもきっと何年経っても、この木々を、この時間を
このときのわたしたちをありありと思い出すに違いない

一枚の絵のような枠に、なにもかもが詰まった、
美しい思い出として

 

イギリスでの一週間ももはや終盤
駆け回っているうちに、移動が近づいている

今回は、2日目から5日目の昨日まで、
約束が2件、3件という日が続いていた
ロンドン(と、ブライトン)市内は広く、移動時間もかかるので
絵に描いたようなバタバタ
お腹も壊しているので、中々にしんどい毎日だった


去年9月以来のロンドン
前回は、コロナ前から間が空いていたこともあって、
この街の変化が、ただただ衝撃的で悲しかったけれど
今回はすこし、冷静に見られている気がする

これからまた、きっと、何十回もここを訪れる
合う水も合わない水もあるけれど、さまざまに反応しながら、
わたしなりの居心地のよい場所と、
たくさんの新しいものを見つけていけるはずだ


まだうまく言葉にできないけれど
すこしずつ、進んでいく

ここで出会ってきたものを、積んできたことを、
過去に置き去りにしてしまわないように