雨の日曜日
強風に傘を持っていかれそうになりながら、
仕事の前に、花屋へ

ケースの一角から選んだ、パステルカラーの花々を
仕事場でカットして揃え、まるく束にする
とくに心得のないわたしだけれど、
明るい花に触れて、ああでもないこうでもないとやっているうちに
気持ちまで明るくなってくるから、不思議だ

ラナンキュラスデルフィニウムスイートピー
ただよう春の気配

 

四月から、新しく小さな部屋を借りることになっている
念願の、オンラインショップ用の事務所兼倉庫
本当に狭いスペースだけれど、
探し続けて、やっと最高の条件のところを見つけたのだった

昨日、店の大家さんと雑談していてその話になったとき、
大家さんがふと、楽しみやねえ、と言ってくれた
近ごろ色々なことがありすぎて、苦しいばかりだったので
それだけで、ちょっとうるっときてしまった

五年半、わたしなりに懸命に店を経営して、すこしずつ大きくしてきた
大家さんは、そのことをよく知ってくれている
わたしはもちろん仕事のうえではひとりだけれど、
心強いなあと、思う


どういう場所にしたいのか、よく考えて
思いきり楽しんで置くものを選びたいなあ
これからなんだから

それにしても、小物などを探していると
べつになくてもいいけれどあったらうれしい、というものの幅の広さに、
あらためて驚いたりもする
わたしが輸入したり、相談して作ってもらったりしているものも、
きっとこんな風に、誰かの毎日に登場してくれているのだね

仕事で関わった愛するものたちが、しっかり映えるように
視野を広く、いい空間を作りたい

そして、欲を言えば、
静かに勉強したいときに閉じこもれる部屋にもなればいいな
店の経営という道を選んだわたしだけれど、
これまで長い時間をかけて学んできたことを最大限に使いたいし
かわりの人はいないというくらいの知識をもって、
お客さんとより広い世界との橋渡しがしたい
それもまだまだこれからなのよ

 

夕方、馴染みのカフェへ出かけると、
外にまで行列ができていた
お正月明けからずっと、この時間は誰もいないこともあるくらいだったけれど
これからしばらくは、また混むことが増えるんだろう

店を持っている身としても、在住の身としても
京都ならではの人出に困ってしまうことは多々あるけれど、
それでも、このまちならではの賑わいが
外に出られない時期を経たいまは、愛おしい


あとひと月もしたら、桜が咲きはじめ
あらゆるところを人が歩くようになる

ひとときの、無秩序な夢のような季節が、
今年もまた、やってくる