緑の絵具で勢いよく描いたような銀杏と、海の絵に落ちる夕方の光 大きな北向きの窓と、通りの銀杏の木はわたしの仕事場がある雑居ビルの、何よりの自慢だ最初に見に来たのは7年前の1月で、部屋はスケルトンで瓦礫の山、なにもなかったけれど驚くほどに明るく…

行ってみたかった丹波篠山へ京都からのドライブ 江戸時代の面影の残る街並みと、盛りだくさんにものが置いてある店々を巡り古い建物を改装した宿に泊まって、土地のものをいただいた夜の街はどこまでも静かで、宿にはテレビがなく、思い出したくないことは、…

今年の、春のはじまりの日はいつも通り店に立つ、なんでもない日 午前の早いうちから母を誘って、馴染みの喫茶店へ出かけたスコーンとフルーツサンドのセットをぺろりと食べて、気合いを入れ直し、元気に仕事へ お隣のお菓子屋さんが、お誕生日おめでとうご…

“出張後の営業”という期間を終え、その日の夜からオンラインショップを開けたら瞬く間に、水曜夜の今になった スウェーデン、イギリス、そして日本で買った本が廊下に積み上がっているこれまでほぼ手をつけられなかったやるせなさと、これから一冊ずつ読んで…

冬になると、きまって『雪の女王』が読みたくなる 登場人物が、それぞれの役割を果たしながら生き生きとしていてもう大人になって随分経つというのに、時間を忘れて没頭してしまうアンデルセンの童話のなかでも異彩を放つ、骨のある冒険譚 主人公のゲルダを…

6年間、店で履いていた靴をついに手放した ちょうど10年前、2013年の6月末にパリのレペットで買った靴セールで1万円ほどだったけれど、それでも、留学生だったわたしには大きな買い物で勿体なくてぜんぜん履けなかったその後、店をはじめてから、ここなら汚…

夕方遅く、違う場所でデスクワークをしたくて、仕事場の近くのカフェに出る 春になってからは、遅い時間に行くとほとんどデザートが売り切れになっているその店よく会う店員さんに、これはまだあります?と訊くとあ、たぶん、とちょっと砕けた感じで答えてく…

週はじめのストックホルムは超のつくレベル、と言ってもいい快晴 それなのに終わらないデスクワークにため息をつき、ホテルの窓から、建物の狭間の細長い空を見上げるふと、自分のため息があまりにも、絵に描いたみたいだったことに気づいて笑ってしまう 出…

“From all sides they come, an incessant shower of innumerable atoms composing in their sumwhat we might venture to call life itself.” 日本語に訳して紹介することもある、ヴァージニア・ウルフの言葉やっぱり英語のままが、いちばん美しく、真に迫…

お客さんがいない隙間時間店のライブラリに、最近気に入っている曲をいくらか加えた 個人のSpotifyとは、重なってはいるけれどすこし違う並びなるべく耳触りがよい声と音、落ち着くテンポのものを選ぶのでときどき、角があるなあと思うとその曲をリストから…

まだ腰はよくならないままだけれど、雲ひとつない晴天の、休みの日 部屋のブラインドを二箇所ともいっぱいに上げ、数日ぶりにすこしピアノを弾いてみる痛みに数分でギブアップして転がり、空を眺めながら手を伸ばしてスピーカーの電源を入れた ゆったり構え…

10年前に買ったトップスと今年買ったスカート 同じブランドのものなので、合わせたくなりトップスのほうも着ることが増えたそれなりに変化をつづけるわたしと、変わらぬテキスタイルへの愛 16時半過ぎ口をつけられないままだったコーヒーを温め直しお隣さん…

仕事の月曜日夕方近い時間に、すこし時間ができて一軒家で営まれているカフェへ 庭の葉桜に向かって座り、持ってきた本を読むスピーカーからは、Sufjan Stevens背後では、思い思いに話す人たちの声が、大きく、波の音のように聴こえている レモンケーキとア…

先月三週目以来の、まる一日の休み 大量のマグカップ、大量のティータオルに続き大量の一輪挿しと格闘することになった今週へとへとで、寝付きの悪いわたしも昨晩は電源が切れたように眠り一晩じゅう目が覚めなかった きょうは、ひさしぶりに開くセザンヌの…

降りしきる雨を、横目に積み上がる仕事をひとつずつ片付け、片付けても片付けても仕事に埋もれる火曜日 例年、この時季は、仕入れと棚卸で、店に立たない日も隙がない今年は、まあまあきちんと寝ることができているので、それだけでもうまく回っていると言え…

きょう最後のお客さんが帰られたあとずっといいなあと思っているブレスレットを試着し、デスクワークをしながら、頭の片隅で悩む ものをここで見送るのが、わたしの仕事そのこと自体に、とても大きなやりがいを感じているけれど、すべての商品に対して愛があ…

暑さを楽しんでやろう、という気力まではなくとも明るいワンピースを着るくらいはできる 燃え尽きない8月日々は、ままならないままに続くけれど、止めれば失うものが増えるだけだ マドリードの古着屋で、10ユーロほどで買った、スペインの百貨店のオリジナル…

Loney DearのSummersとくにこの季節には、シャッフルで流れてくるとうれしくてひとりのときだとじっと聴いたりする 晩夏の森22時まで開いている教室で、友だちと3人居残って、音楽をかけながら、縫い物をしていたことを思い出す 今週は、お客さんの予約がな…

絵に描いたようなゲリラ豪雨折れた小枝が窓のそとの大通りを飛んでいき、雨樋から、これまでに聴いたことのない音がする 嵐のあまりの勢いに不安になりながら、デスクに持ってきた明るい花束を眺めるひとりの、仕事の午後 雷に負けないようにと、マルーン5の…

冬に買っていた七分袖のワンピース梅雨に入ってから、極端に暑いか寒いかでぜんぜん着る日がなくて今になってやっと登場した 7月になったら、さすがに着られないよなあ、とまだ遠い秋に思いを馳せる いや、でも正直、秋のことなんてちょっと考えたくないな …

母に聴かせたら、自分も欲しいから買ってと頼まれたCDが届き新鮮で、ついつい写真 ストリーミングの画面で見慣れたアートワークが、ものとして手元にあるとちょっと嬉しくなるのは、なぜだろう 母は、スマホで音楽を聴かない何曲か、ダウンロードしてあげた…

何百時間の積み重ねの結晶みたいな、仕事 ほかのことを、些末だなんて思わないけれどほんのすこし新しいことを考えている時間は、やっぱり特別なのだ 夕方、銀行に用事があって、仕事場を離れる強い南風に押されるように、どんどん歩いていって川べりを、目…

ひさしぶりの、まる一日の休みひょっとして2月以来だろうか 朝から、クローゼットの洋服を選びやすく並べ替え、そのわりには適当な出で立ちで、散歩に出るそういえば去年の今ごろも、繊細な服はぜんぜん着ていなかったな店を閉めていて、着る場所もなかった…

近ごろ以前にも増して、階下で仕事をしている大家さんがちょっとしたおやつを分けてくれるようになった 祇園出身の彼は、元料理人食物アレルギーがひどくて、料理の世界を離れ縁あって不動産の仕事を始めたそうだ そんな大家さんだから、これ美味しいんです…

蝋梅が咲いた つくりもののような花に、そっと触れる見上げると白い光幻想との境界が、揺れる 全部、見たこともないもの、知らないことみたいだ 最近は、雨が降らなければかならず、歩きに出かけている仕事があるので、時間はさまざまで、朝早いこともあれば…

いっときはほとんど編み進められていなかった、姪のセーターもやっと、仕上げの段階に入った 今夜は、パーツを縫い合わせる作業平に置いて、もくもくと作業をしていると、やっぱり、氷の森で民族衣装を縫っていた頃のことが過ぎる 当時はロンドンが恋しくて…

慌ただしさここに極まれり師でもないというのに文字通り駆け回る、師走 取引先のお姉さんが今回も荷物に入れてくれた、チョコレートで目と舌に甘い刺激 この季節になると決まってかける、Diane Birchロンドンへ行く前の冬に出たデビュー・アルバムは、当時、…

遅れに遅れ、気を揉んでいたオーナメントが11月最後の営業日のきょう、届いた 包みを開けた瞬間、わあ、と気持ちが跳ねあがる1月に彼女のアトリエでもらったサンプルより、華やか不揃いで、どれもこれも素敵だ 本当に、ものがきらきらと光を放っているように…

きょう届いた荷物の開梱中失くさないよう、ボウルに細かいものを入れていてその美しさにはっとする もちろん、仕入れには苦しさも付き纏うけれど日々、こういうものがいっぱいの店で仕事ができるのはそれだけで幸せなことだ これまでにない量の仕事を、とに…

予約のお客さんがいない時間、というのが今週は、ある ふたつの窓をいったん閉め、給湯室のポットに水を足し、スイッチを入れシュー、という音を背にして、グリーティングカードを手に取るうちには、誕生石と誕生花、そして星座のカードがあってなんでもない…