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昨年末に出たばかりの、スティーヴンソンの子ども詩集を
自分の店の書棚にも


この詩集のなかに、もともと原詩がとても好きだった、
“鏡の小川 Looking-Glass River”という一篇がある
風が水面を撫でたのか、カワウソや魚があらわれたのか
ふと、波紋が連なって、
そして、すこしの余韻を残し、またもとの静けさが戻る

暗く澄んだ水底の描写も、きらめきのある情景も
宮沢賢治の『やまなし』を思いだす
ささやかでドラマチックな詩


“Till a wind or water wrinkle, 
          Dipping marten, plumping trout, 
Spreads in a twinkle 
          And blots all out. ”

完璧にも感じる英語の響きも、
この最後を“水鏡を消していく”とした日本語訳も
どちらも、美しい


書店、というには小さすぎる棚でも
オープン以来ずっと本を売っている
それゆえにただ本が好きなだけの自分ではいられないわけだけれど、
やっぱり、やっていてよかったと思う

それくらい、わたしが文字から、文学作品から、
本から得ているあれこれは
ほかにかえられない特別なものなのだ

 

状況が悪化して
わたしの店も、ぱたりと予約が入らなくなった

1月5日から、きゅうにダメですわ、
清水とか嵐山以外は一気にあかんようなりましたね、と
きのう、タクシーの運転手さんも話していたけれど
遠方からのお客さんが多いうちも、その通り、
そのまま煽りを受けている

正直、こうなることは想定していたので
昨年11月から年末にかけて、全力で働ききったことにより、
しばらくは耐えられると、ほっとする気持ち半分
また、昨年夏のような悲惨な状態に戻ってしまうのかという
絶望感が、半分

まあ、でも
いい具合に、来週は冬休みを取っている
ひさしぶりにゆっくりしつつ、様子見だね


それでもちょっと沈んでいたら
ふるさと納税の返礼に、チューリップの花束が届いた
色とりどりのチューリップは、どこまでも明るく、
顔を埋めて、香りを吸い込んだ

一昨年訪れることができなかった、富山県砺波市
いつかぜったい、あらためて行くよ
どうか、雪の被害などありませんように

 

水面につぎつぎ広がっていく紋のように、
ひっそりとした、ちいさな巡り合いのある日々

わたしなりの思いを携えて
ただ、一日、一日を