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いただきもののレモンのお菓子とともに
ウェブショップの仕事

在庫を確認し、品出しをして、メールを送る
再入荷したばかりのレターライティングセットは、
フェイクレザーのケースをひとつひとつ組み立て、中身を収めて
メーカーさんの名前が入った薄紙で包む

集中が必要な、静かな作業
こういう時間が好きだ


集中することが好き
だから、たとえば編み物も、好きなのだと思う

気持ちが切れて、ぼんやり手だけ動かしていたりすると
間違えたことに気がつかず、しばらく進んでしまって
何倍もの時間をかけて戻るはめになったりする
その緊張感を、わたしは貴重だと思っているし
逆に、あまり考えなくていいところは物足りない

つねに熱くなっている、頭のいくつかの回線のひとつを
編むために使って閉じることで、
ほかもすっきりするのかもしれないな

よりよくあるための何かを
こうして、見つけている、ということ

 

最近は、ヴァージニア・ウルフ『波』を
毎日ぜいたくに、すこしずつ読んでいる

英語版をとても大事にしているので、
45年ぶりの日本語の新訳を、本当に楽しみにしていた
この世でもっとも好きな文学作品のひとつ


ウルフのなかでも難解と言われることが多い作品だけれど
わたしは、むずかしい、というのはちょっと違う気がする
どこをとっても密度が高く、ひりひりとして、
ただ文章を追うのが、愉しい
すべてのページの、ふとしたフレーズに
一瞬で引きずり込むような強い力があり
いわゆる“詩”という形式ではなくとも、詩集のようだ、とも思う

印象的だったページの隅を、折る
なんとなく抵抗があって、普段はあまりこういうことをしないけれど
この本に限っては折って、何度も何度も手に取って、
生きているかぎり持っていく
これは、わたしにとって、そういう類の本


この本を開いていると
人にとっての時間は、本当に一方向で連続しているのだろうか、と
ふと、宙吊りになったような気持ちになる

人の一生が、一冊の本として順に編まれているとしても
あちこちからページをめくるように在るということは、できるんじゃないか
実際、過去に行くことはできなくても、
その時その時の、鮮やかなきらめきやかなしさ、
ちょっとした厳かさやどうしようもない愚かさは
わたしが思うより、現在と同等にあるものなんじゃないか
そんなことを、思ったりする

ひたすらに寄せては返す波のような、意識と
筋書きがなかなか読めないあり方というのが
わたしには、人生そのもののように思える、という
単純なことかもしれないけれど

 

たとえば忙しくて、あまり長い尺をとれなくても
本を読んだり、編み物をする時間を守りたいと思う
今週は、水曜には、仕事の合間に無理やり古本市へ行ったりもした
これはもう、執念に近いものがあるな

薬の効果か、身体の調子はすこし良くなったので
しばらく維持できますように
もうこの量、そしてこの味の薬は飲みたくないというのが本音

もうすぐ7月
京都はまあ、どんどん暑くなっていくんだろうけれど
せめてもうすこしは心配ごとの少ない、穏やかな月になるといいね