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近ごろ以前にも増して、階下で仕事をしている大家さんが
ちょっとしたおやつを分けてくれるようになった

祇園出身の彼は、元料理人
食物アレルギーがひどくて、料理の世界を離れ
縁あって不動産の仕事を始めたそうだ

そんな大家さんだから、
これ美味しいんです、とくれるおやつは本当に全部美味しい
そのうえ、ときどき自家焙煎のコーヒーまで
この環境、ちょっと良すぎやしませんか

なにより、長々と立ち話をする時間を
大切に思っているのだけどね
ひとりで働くわたしにとっては彼は同僚のようで、
一緒にビルをいい場所にする、同志のような存在でもある

 

今週は、お客さんがとにかく少なかった
2月だからか、緊急事態宣言中だからか、
はたまた、今月のチョコレートとの競合の結果か
(かなり語弊があるとは思うのだけれど、
うちの競合は、正直同業というよりもチョコレートだ)
めずらしく、空き時間があちこちにできた

その間に、現行品だけで7箱の荷物が届き、
そのうち大きなもの3箱を開けた
せっかくだから、お客さんがいない時間は休めたらいいんだけど、
仕事なら無限にある

まあ、でも
荷物が届くのは、うれしいな
ものを作ってもらい、送ってもらうというのは、
当たり前にできることではないと、もう知っているから

 

 

先週、関ジャムでWintergatanの動画が紹介されていて
それで、ルンドに居たときにものすごく聴いたこの曲を思い出した
なぜかしばらく聴いていなかったけれど、やっぱりいいなあ
2012-13年、思い出の一曲だ

 

 

ちなみに紹介されていたのは、楽器を作っちゃったこの動画
惜しみなく時間をかけて試行錯誤を重ねる、
その情熱も、間違いなく才能なのだね

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昔、東京で働いていた頃に買った
ごく普通の革のジャケット

ロンドン時代にいちばん着た服でもあるし
もしかしたら、これまでの人生でいちばん着た服じゃないだろうか

今年はきのうが初めて
毎年、毎年、着ているのに
その年初めて袖を通す日はうれしい


実は、2年前の夏と比べると、
今は体重だけで言えば、6キロほど軽い
やせているほうが必ずしもいいとは思わないし、
むしろ、体型云々というのは呪いのようでいやだなあと思うんだけれど
それでも、着られなくなった洋服をどうしてもまた着たくって、
少しずつ、少しずつ、運動をしたりして落とした

最近は、なんとか3年前のウエストに近づいたので
まったく着られないという服は少なくなり、
それがうれしくて、楽しく遊ぶ気持ちでいろんな服を着ている
もうすこし戻して、留学中に愛用していたデニムを
無理なく履けるようになったらな

お洒落でもなんでもないけれど、服が好き
大事なものを長く、大事にしていたいのだ

 

きょうは、仕事の合間に、
運動がてら、ちょっと離れた本屋まで、歩いていったりした

ゆっくりと店内を歩き回り、
ほしいものがいろいろ見つかった
以前に比べると、読書のペースが落ちてしまっていた最近だけれど
もっと読みたい、読まなければと思えるような仕事のお話を、
昨年末から立て続けにいただいて、熱量が上がっている

いまのわたしに、必要なことなんだろう
これも、縁


それにしても、21、2歳の頃は
1日に2、3冊を読み切ってしまうこともあったけれど
本当に、いったい何を考えていたんだろうな
あんなときもきっと必要だったとは思うものの、
あれほど浴びるように読んでも平気だった当時の自分の屈強さに、まず慄く

今はもう、ああいう読み方はしないし
これから先も、することはないと思う
だけどあの熱と強さをそっと隠しておいて、ときどき取り出せたらいい
そう思うのは、都合がよすぎるかしらね

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たくさんの商品とともに、
自分のために買った銅版画が、届いた


この銅版画に出会ったのは、2019年9月の展示会
取引先で友人でもある、美しい絵をあしらったカードを作っている人が
ブースの壁に飾っていた

そのときにはもう、心ひかれたものの
基本的には非売品だとわかっていたので、買うことは考えなかった
けれど、2020年が終わり、
一年を必死に闘い抜いた自分になにかを買ってあげたいと思ったとき
不思議と浮かんだのは、この繊細な版画だった

話してみると彼女は、勿論いいよ、実は4枚刷っていたの、と値段をつけてくれ
4/4の文字とJasmine Garlandというタイトル、
そしてサインを入れて、今回のオーダーと一緒に送ってくれた

こんな風にうちに来てくれるなんてと、不思議な気持ち
本当に、本当にうれしい


ロンドンでは、5月ごろになると
あちこちでジャスミンの花が咲く

大学のころは、その時季がちょうど試験期間だったので、
追い詰められているときの香りという感じだったけれど
この仕事をはじめ、5月にかならずロンドンを訪れるようになってからは、
すこし余裕ができて、漂う強い香りをより大切に思うようになった

この銅版画のジャスミンは、葉っぱだけれど
じっと見ていると、やっぱり、思い出すのはあの遠い街のこと

 

たくさんのカードは、ほぼ片づけ終わったものの
今週は、まだまだ仕事がつづく

自分がひとりで足りるのか、例によって不安
でも来週、額装してもらいに行くのを楽しみに、
それまではこれをときどき取りだして眺め、がんばろうっと

そう思えるようなものに出会えたのが
つくづく、幸せ

これでもかとうなされて
ボロボロになって起きあがる、朝6時

あまりにも酷い夢だったので、途中でこれは夢だと気づき
なんとかして覚めようと、長い時間もがいた
起きたあとには、夢の内容よりなにより、
水底に沈められていたような重たい苦しさが、残った

外は雨
雫がひっきりなしに流れる窓ガラスは、まるで水槽で
この気分にぴったりだ、と、ぼんやり思った

 

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午後、雨が上がった隙を見て、散歩
強い風に、みるみるうちに雲が流されて、
梅越しの空が青くなっていく

底がない、と思っても
まだ、花や空に気持ちが動かされるのは
いったいなぜだろう

 

すこし気分が上向いて、デスクワークに戻る
今週は、すこし余裕があるので、
確定申告の準備をしておかないといけない

一度目でぴったり計算が合い、
ひとまず、ほっとした
この性格がこうして、プラスに働くこともある


それにしても、前にも売上のことで書いた気がするけれど
去年の数字はあまりに状況を物語っていて、迫力がすごい
きょうは仕入の計算をやっていたのだけど、
月によってまったく数字が違うから、色々思い出してしまった

どれほど、先のことを考えると疲れるとはいっても
今、ここに店があって、問題なく続けられるということを
ただただ、ありがたく思う


梅と確定申告
巡ってくる季節を感じずにはいられないな

願いはひとつ
とにかく、穏やかに

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今週は、お客さんから
お菓子をたくさんいただいている

バレンタインだから、と仰る方が多くって
そもそも買い物に来てもらっているのにと、ひたすらに恐縮している
だけど、チョコレートやクッキーの売り場で、
これから行くあの店の人にも、と、思ってもらえたのだとしたら
それはやはり幸せなことだなと、思う

それにしても、
いつもありがとうございます、はどう考えてもこちらの台詞
ありがたいやら、申し訳ないやら


きょうは、17時の方が18時に移られて
17時台が、ぽっかりと空いた
ここぞとコーヒーを淹れ、昨日いただいたばかりのクッキー缶を開封
さまざまな形のクッキーが、きっちりと収まっている様子には
いつだって、惚れ惚れする

これをくださったのは、うちがオープンした頃からのお客さん
ここのクッキー美味しいから!と仰っていたけれど、
本当にすごく美味しかったこと、次があったなら伝えなくちゃ

当たり前のことだけれど、お客さんはお客さんだから、
また会えるとは限らない
だからこそ、もしかしたらある次、は
大切にしたいと、いつも思っている

だけどもちろん、覚えてほしくないという方も多いだろうし
覚えない努力というのも、きっとまた必要
上手に汲めたらいいのだけどね

 

クッキーを齧りつつ、溜まっていたメールをチェックしていたら
イギリスの倉庫からの連絡があった
どうやら、陶器のうち2点が破損していたらしい

どれとどれだろう、とため息をつきながら
指示のメールを、書く
わたしは、買い付け中の梱包に絶対に近い自信があって、
陶器やガラスを破損させたことは、この仕事を始めて以来ほぼないけれど
この状況下では自分が行って梱包できるはずもなく、話は別だ


どうしようもないことだとわかっていても、
これまで長い時間を経てきたものが
わたしが買い付けたことで日本へ来る途中に壊れてしまうのは、悔しい
わたし自身が関われないところでそれが起きることが、もどかしい
これも小さな、コロナの余波

割り切ることが必要だと、わかっている
だけど、どうしても消えないこういう気持ちを、忘れるべきではないと
こうして、ときどき思う

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今年に入ってから、
また、簡単に日記を書くようになった

と、いっても、日記用の手帳を一冊つくり
箇条書きに近い断片を留めているだけ
最初に張り切ると、続かないからだ


Poetry Diaryというものを選んだから
週によっては、左側の頁に詩が載っている
早朝の光のなかで、ゆっくりそれを読みながら、
昨日のできごとを思い出して、書き留める

わざわざこういうことを、今年しようと思ったのは
この状況で、時間を失っているように感じて焦っているからか、
それとも、単純に、
書く場所を欲しているだけなのか

 

近ごろは、日中の仕事を終えたら
夜はヴィンテージの仕入れと、オンライン展示会
また仕事量の多い日が、続いている

それにしても、今回の展示会は
わたしの友人とも呼べる取引先は、ほとんど出ていない
場所の制限がないからか、多くの展示会に出ているメーカーさんが目立ち
ちょっと画一的というか、商業的になった気がする
いや、もともと紛れもなく商業なんだけども

取引先のブースを回って談笑し、新作を見せてもらって、
季節のオーダーをするのが毎度の楽しみだったので
オンラインではなく展示場での開催に戻っても、
もしかしたらああいう機会は戻らないのかもと思うと、寂しくて仕方ない

とはいえ、オンラインでこれだけ仕事ができることが、
すばらしいとも思うのだけど


展示会の画面を、うーん、と閉じ
思い立って、取引先が入っているアーティストレジデンスのページを開ける
小さく仕事をしている、楽しいものを作る人たちが集まる場所

すこし、入居している人たちも変わったのかな、と一覧を見ていると
手描きらしい絵皿のアイコンに目が止まった
ご本人のページに飛んでみると、ドローイング、蓋物やタイルなどどの作品も美しい
息を呑み、身じろぎもせずにすべてのページ、すべての写真を見た

商品として販売するというより、オーダーを受けて制作をしている方らしく
うちで扱える可能性は限りなく低いけれど、
それでも、こういう作品が見たかったのだ、と思った

求めたいものばかり求めていても、だめかもしれない
だけど、たしかに今見ていたいものがあるんだよ


展示会で動揺して振れていた針が、真ん中に戻った気がするから
それだけで、きょうはよかったかな

試行錯誤は、まだまだ、続く

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蝋梅が咲いた

つくりもののような花に、そっと触れる
見上げると白い光
幻想との境界が、揺れる

全部、見たこともないもの、
知らないことみたいだ


最近は、雨が降らなければ
かならず、歩きに出かけている
仕事があるので、時間はさまざまで、
朝早いこともあれば、すっかり暮れてからのこともある

きょうは、午前中は店で作業、
午後いちばんからは取材を受けていたので
その後にすこし、出ることにした
まだ夕暮れには早いという時間の、冬の風景は
淡白だけれどやわらかく、憂いを含んでいて美しい

 

 

きのう偶然、ほんとうにひさしぶりに
世界の車窓から』を、見た
たまたま、コペンハーゲンーマルメという、
見慣れているもなにも、いっときは月2回は乗っていた区間
ちょうど去年の今頃にも乗った電車でもあるので
思わずじっと、瞬きもせずに見入ってしまった

映像に乗せて流れていた、Choir of Young Believersの曲も
懐かしくて、きょうはずっとこれを聴いていた

どうか変わらないでいて、と願う
いつかまた訪れたときに、あの電車も、あの街も、
わたしの知っているすべてが、そのままそこにあってくれたら
どんなにいいだろう


最近、遠くに思いを馳せることが増えている
逃避したいのもあるけれど、
去年の今ごろ、ちょうど最後の出張中だったからだと思う

どんな心構えでいるのが、正解なのか
ぜんぜんわからないまま
わたしの中の素直なわたしは、ずっと体育座りで泣いているよ

だけど、それでも、
日々の仕事をきちんとしていれば、すこしずつでも進んでいく
そしていつかは、完全ではなくてもかつてのように、と
そう、どこかで信じてもいる