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店のそとのスペース
ここから見える、もさもさした銀杏の木が好きだ

やっと、すこしは涼しくなったけれど
まだ木々は夏のいろ


銀杏の緑を、視界の端で楽しみつつ
商品の三度目のテスト撮影
SNSで写真は撮り慣れているつもりでいたけれど、
なかなかどうして、うまくいかないことのオンパレードで
テスト撮影ばかりを繰り返している

あれこれとセッティングをしていたら
上階の設計事務所のデザイナーさんが声をかけてくれた
プロフェッショナルですねえ、と言ってくれて、
わたしは、本当のところ写真のプロでは全然ないんだけれど
手間を褒めてもらえた気がして、うれしかった


その彼女が働く事務所は
今月、ほかのところへ移転してしまうことになっている
仕事が増え、手狭になったからで、
おめでたいことなのだけれど、とても、とても寂しい

でも、実はうちも、この頃本気で移転を考えていた
結局、このビル以上に愛せる物件も、便利な物件もなかったので
まだまだここでやろうと決意を固めたわけなんだけど
三年経って、お互い仕事がしっかり育ったのだな、と思うと
やっぱり嬉しいかも

次の方とも、仲よくなれるといいな
来年、お隣さんが産休から戻ってきたら、
きっと、ますます賑やかになるね

 

むかし勤めていた店をはじめた上司は、
5年で、ようやく仕事が回りはじめたと言っていた
そうなんだな、そうなんだろうな、と
今になって、ようやく本当に身に染みている
知識も、感覚も、養うには積み重ね以外の方法はなく、
想像以上に膨大な時間が必要だ

こうしてやっていれば、2年先には
わたしも、すこしは違う景色を見られるだろうか


それにしても
だれにも雇われず、だれも雇わない、というのは
つまり、目の前のことを端から全部自分でやらないと、
まったく前に進めない、ということで
いい加減にしたものは全部、未来の自分が背負うということでもある

あまりにも仕事量が多く、
そんな当たり前のことをあらためて実感中
いや、仕事があるのだから、本当にありがたいんだけどね

 

週末には、恋人が
9ヶ月ぶりに関西にやってくる

1日半きちんと休めるように、なんとかしなくては
そう思うと、焦ったりもするけれど
その1日半、思い切り楽しむためだと思えば、
全部、がんばれそうな気がするよ

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輸入・小売業のわたしにも、
繁忙期というものはしっかり存在していて
いま、それの只中にいる

ヨーロッパのギフトを扱う、わたしの仕事は
一年がクリスマスを中心に回っているといっても過言ではない
クリスマスに向けて、11月には店にものがあってほしい、となると
9月はオーダーの時期なのだ


例年は、ロンドンの展示会に足を運び
出ている取引先と端から話をして、決められるものはその場で発注をする
その後、ほかの町や国に移動し、新しいものを探したり
取引先のアトリエやヴィンテージディーラーなどを訪ねながら
展示会でのオーダーを確認するやりとりを続けるのが常
だから、出張中はとにかく忙しいのだけれど、
帰ってくるころには、だいたい峠をこえている

だけど、今年は、展示会はオンライン
夜な夜な商品をチェックしているけれど、
すでに取引をしているところだけでもとにかく時間がかかり
正直、新しい取引先を探すどころではない
しかも、これまた時間のかかるヴィンテージの仕入れをしながらなので
起きている時間のこの圧迫感よ

と、まあ、完全に愚痴なわけですけれども
つまり、今年始まって以来の忙しさを極めています
終わりが、見えない、、、!

 

疲れきって倒れこんでいたら
展示会から“ビデオメッセージが届いています”というメール
ビデオ?と開けてみると、取引先のお姉さんで
電話したけど繋がらなかったから動画を撮ってみたよ、と
新作の話なんかを、沢山してくれていた

なかなかに長い動画で、ずっと喋るのも楽じゃないだろうに
わざわざ撮ってくれたのかと、驚く
営業努力といえば、もちろんそうなのだろうけれど
いつも会っている人の顔と、わたしの名前を呼ぶ声は
ただただ純粋に嬉しく、ほっとした


大変なのはわたしだけじゃなくて、皆そう
それでも、出来る限りのことを、
いつも以上に時間をかけて、前を向いてやっている
仕事だしあたりまえのことだけれど、その事実はとても強くて
わたしも、という風に思わされる

忙しくても、ひとつも気を抜いて仕入れたくないな
吹けば飛ぶような、小さなわたしの仕事だけれど
いい取引先で、楽しい店でありたいね

 

産休中のお隣さんから、届いたお花が
空回りそうな心を、すこし休めてくれる

まだまだ日中は暑いことは暑いのだけれど、
朝晩は涼しく、秋の虫の声が聴こえるようにもなった
長袖を着られる日が、またそこまで来ているんだろうか

緩やかに移り変わる季節を
恐ろしいとばかり思わず、過ごしたい

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愛しのサブ機になる予定の、iPad
きちんと触る時間がなくて、しばらく置いていたのだけど
ようやく動きだした

開封した瞬間には、他人行儀だったのに
フィルムを貼ってカバーをつけて壁紙を変え、
いくつかの設定をするだけで、自分のものに感じるから不思議だ

その設定ですらも、iPhoneを近づけるだけでほぼ終了
Wi-Fiのパスワードすらも必要なく、気がついたらもう接続されていて
いやいや、とんでもない時代だ、と感心してしまった

今の子どもたちは、どんな世界を生きていくのだろう
そんなありきたりな言葉が、ぐるぐる頭のなかを回る、
短い開封の儀


iPadは、仕事は仕入れとウェブショップ関連に絞って
あとは、勉強をしたり、動画を見たり、
編み物のパターンやピアノの楽譜としても使うつもり
まずはひとつひとつ、毎日仕事で使っているアプリをダウンロード
なかなか新鮮な作業だった

メールと、SNS
店のものも個人のものも、結局ひとつも入れなかった
メールに縛られるのは携帯電話だけでじゅうぶんだし、
twitterなどは、リンク先を読む時間を含めて日に30分までと決めているのに
iPadにアプリを落としたら、つい開けてしまいそう

うまく付き合っていきたいな
これからよろしくね

 

実は、店のレジに使っている一台以外でも
iPadを使うのははじめてではなくて、
ロンドンの学生生活では、手放せないものだった
ほとんど、論文と試験の過去問を表示する板みたいな感じだったけれど
ラップトップで読むよりも内容が頭に入ってきやすく、随分助かっていたし
スピーカーを持っていなかった頃は、部屋ではiPadで音楽を聴いていた

通っていたカフェのざわめき、ぬるくなったコーヒーの味、
ほとんど殴り書きの要点メモ、窓の外を通っていく赤いバス
iPadとともにある当時あたりまえだった風景を、なつかしく思うのは
この状況ではロンドンへ行くなんて夢のようだからか、
それとも


10月から、また、講義を聞くことになる
最近はオンラインコースが充実して、遠隔地からできることが格段に増えた
これではそのうち、留学の意義も問い直されかねない

Apple Pencilなるものが登場したわけなので
iPadで書き込みをしながら論文を読んだりもできそうだし
着実に、叶っていっているのだな
こうなったらいいな、と、思ってたこと

あの頃の自分の希望に、応えられるように
当時の未来に立つわたくし、本当にしっかりしなくては

 

さてさて
休みだったはずのきょうは、夕方からガチガチに仕事
あっという間に日付が変わり、まだまだこれからミーティング

それでも、日本にいながら
スカイプやメールで新しい商品の相談をして、
オンライン展示会にまで参加できるのだから
これも、未来だなあと感心してしまうな

あれもこれも、大変なときだけれど、
まずは、やってくる秋冬のために、走ること

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届いたミニカードのセット
薄紙で美しくラッピングされていて、中身が見えないので
展示用にひとつ開封し、厚紙に貼っていく

よし、これで中身をわかってもらえるぞ、と満足したのも束の間
まだ、SNSやウェブ用の撮影をしていなかったことに気がついた
このセットはすでにしっかりテープで留めてしまったわけで、
もうひとつサンプルにしないといけないのか…とガックリしたものの
ま、うん、こんなこともある

ひさしぶりの、新しい取引先
どうか気に入ってくれる人が沢山いますようにと祈る気持ち半分、
彼らのものは、絶対に大丈夫、という気持ち半分


昨日、今日は、
ずっと、この荷物の対応に追われていた
ざっくり言うと、大きな規模の破損があって
外箱に穴が開き、内箱が潰れ、
その中に入っていたレターセットのフェイクレザーのケースが
いくつもだめになってしまったのだった

でも、なんていうか
送ってくれた人にも、わたしにもまったく過失がないので
ちょっとホッとしたところもある
替わりのフェイクレザーを送ってもらい、
代金などは運送会社の保険でカバーすることにして
破損した商品の数が多い今回は、その手続きがやっかいではあるんだけれど、
まずは、ひと段落

気持ちに棘が生えたりすることなく、方針が決まる、というのは
それだけで得がたいことだと、思う

 

このひと月半
また、いっさい街なかに出ていなかったわたし
仕事場の収納をなんとか改造しなければいけないため、
通販で買えないものが出てきて
きょう、ひさしぶりに、四条近辺へ行ってきた

そうしたら、でろでろに疲れて泥のようになって
自分でもちょっとおどろいてしまった
気を張りすぎ、体力も落ちすぎ
これは、だいぶまずい気がする


とはいえ、接客をする仕事なので、
万一お客さんにうつしてしまうようなことがあってはいけないし
そもそも、一緒に暮らしている母は感染した場合のリスクが高い
これぐらい気をつけてちょうどいいくらい、とも思うわけで
うーん、どうするのが最善なんだろうな

最近は暑すぎて、夜にちょっと歩きに出るくらいだから、
すこし涼しくなれば明るい時間に散歩ができるのに、とか
3月から、飲食店には一度も行けていないから、
たまにカフェでお茶を飲むくらいはいいんじゃないか、とか
自分にかかっていた負荷をようやく感じて、これからのことを考えた


正解がない
だから、うまく線引きができないことも多いけれど

本格的に秋が来るころには、きっと、
もうすこしは、ペースを保てるように

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グレーテルのかまど』の再放送
8月の『100分de名著』に合わせてなのだろうけれど
『モモ』に出てくる“金色の朝ごはん”がテーマで
思わず見入ってしまった

金色の巻きパン、かがやくバターとはちみつ
マイスター・ホラがポットから注いでくれるチョコレート

いてもたってもいられず
本棚のモモを開き、どの場面だったかな、と探す
あまり、テレビを熱心に見ないわたしだけれど、
こういう瞬間があるから、この番組が好きだ


100分de名著でも、すこしそんな話が出ていたけれど
モモは、どうにも詰め込みすぎの本だとは思う
だから、エンデが、物語を通してどんなことを言いたかったのかが
透けているどころか、一部はそのまま書いてあるし
黒子が舞台の上で喋っているような気まずさが、ないわけではない

だけど、やっぱり
物心ついたときには本棚にあったこの本は、
わたしをつくったひとつの要素だという気がする
エンデと考え方や感じ方が合う、というよりは
わたしがエンデから影響を受けている、と言ったほうが正しいんだろう


そんなことを考えつつも
頭からは、金色のパンが離れないのだから
美味しいものは罪深い
 
ホットチョコレートを飲みたくなる気温ではないけれど
明日の朝ごはんは、ハニーバタートーストにしよう
小さな楽しみが、ひとつ

 

また、考えなくてはいけないことばかりで
きょうも、気の休まらない休日だった

あさってからは9月
いよいよ、本格的に秋冬のオーダーをかけるときだ
オンライン展示会も来週からが本番、
すでに、ビデオ通話ミーティングの予定だらけだし
夜遅くにも働く日がつづく

でも、現地で展示会に行った去年は去年で
月後半の帰国後はもう冗談みたいな忙しさだったわけだし、
まあ、9月はどう転んでもそうなのかなあ

よい冬を、過ごすため
ここからがますますがんばりどき


仕事は、もちろん、何をするにも時間がかかるし
いまのわたしには、余裕を持つことができないということもあるけれど
時間を“奪われる”と感じるのは、どんなことなのか
逆に、効率がよくなくても捨てたくないのはどの部分なのか
いつでも考えていたい

そう、あらためて書きたくなったのは
やっぱり、モモを思うからなのかしらね

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一昨日、ちょっと遠くの花屋さんで買った
よい枝ぶりのユーカリ

店のどこに飾るか、たいして考えず
わあ、いいなあ、と即決した
きょう自宅から持ってきて、その大きさに驚く
そもそも空きスペースがほとんどない店なわけで、
どこに置いても、とにかく邪魔なのだ

それなら、と、いちばん目立つ机の上へ
商品が隠れるので、ディスプレイとしてはだめなんだろうけれど
小さな個人店なんだもの、まあいいじゃない

まだまだ暑い毎日
ここだけ木陰のようだ、と、思う

 

先週から今週にかけて、
実は、ひとつ、大きなトラブルがあった
ピンチヒッターの担当者に、なんともいえない不信感を抱いてしまう案件で
うちにはとてもめずらしく、疲れることだった

それで悶々としていたら、べつの、新しい取引先からメール
開けてみると、一枚の画像が添付されていた
段ボールを入れ子にしてがっちり緩衝材を入れた、梱包済みの荷物の写真
それぞれの小さな箱に、中身の画像つきのラベルまで作って貼ってくれている
箱を開ける税関の人、
それから、ものを保管するわたしへの心遣いだ

彼らはうちがはじめての海外の取引先で
だから、こまごまと指南はしているけれど
梱包に関しては、わたしはなにも言っていない
わかりやすくなるよう包んでみた、無事に届きますように、という本文の言葉が
彼女の人柄を語っている気がした

気力を奪われることも、あるけれど
こうして与えてもらうことのほうが、ずっと、多い

 

先週は、一応店を閉めたりしていたのだけど
仕事にまったく終わりは見えず、ひたすらに圧迫されていた
朝まで作業をし、変な時間に眠ったりしていて
課題に追われていた学生時代のことをなつかしく思い出す始末

でも、それこそ学生のときみたいに
苦しくても、きちんと自分の足で走っている感覚があって
それだけですでに楽しいんだな、とは思う

集中できるときに集中して、眠れるときに眠る
これはこれで、店を開けている日にはできないことだ

休み、とは、とても言えないけれど
必要な、よい日々だったのかもしれないね


さて、そういうわけで
明日は、二週間ぶりのお店の日
ちゃんと喋れるかしらと、不安だけれど
二ヶ月休んだときでもなんとかなったのだから、きっと大丈夫だろう

背筋をきちんと伸ばして
また、自分の場所へ

 

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臨時休業の店での仕事中
そういえば、なにか届いていないかしら、と見に行くと
ポストの底に、一枚の絵葉書

春以前、たびたびいらしていたお客さんから
大阪にお住まいだそうで、状況を思うとなかなか再訪が叶わないということ
それから、店のSNSを見て感じてくださったことなどが、
わたしへの気遣いの言葉とともに、書かれていた


仕事で大変なことが続き、すっかり参っていたので
触れたやさしさに、胸のあたりが大きく波打つ
せり上がってくる涙をぐっと抑えて
モニターの横に、葉書をそっと飾った

翳りのある、美しいコローの絵
描かれている大聖堂は、ロンドンのセント・ポールにも少し似ているけれど
ローマの風景なのだそうだ

まだ見ぬローマと
しばらく会えていないお客さんを、思う
ひとりの静かな昼

 

店を予約制にして、ふた月
お盆には、体裁だけでもいつも通りにできたら、という淡い期待も散り
毎年出張に行っていた時季が近づくにつれて
気持ちを強く持つことが、難しくなっている

もちろん、仕方のないことだとわかっているけれど
今週、来週、再来週の、
そして、三ヶ月後、半年後、一年後の多くのことが砕けてしまった今
現実を、ある程度冷静に直視しているからこそ、
自分自身の慰めの声は、届かない

目に見えて失ったもの以上に
潜在的に失いつづけているというものが、大きくて
考えるほど、打ちのめされてぼうっとする
目の前で、これまで手から零したくないと神経を尖らせていたものが
砂時計の砂のように、さらさらと落ちていく

でも、“もし、こんなことにならなかったら” なんて
もう、どこにもないから


今週、店を休みにしたのは
本当は、ウェブなどの準備をするためだった
だけど、現地と色々話をしなくてはいけない、
そしてこちらでも多くのことを調べる必要がある、という案件が次々出てきて
それに時間が圧迫され、一週間が終わってしまった

それでも、しつこいようだけれど、
こうして地道にやっていくしかない
行くことができないなら、遠くから関わる方法を考える
顔を合わせて話ができないのなら、言葉を尽くす
お客さんに自由に来てもらえないのなら、
不自由な枠内の時間で、ひとつでも多くの新しいものを見てもらえるようにする
前のようにできないものは、できない、
だからこそ、と思う


わたしは、もちろん、特別なひとりじゃない
多くの人がこうして、いわば最大限の工夫を凝らしているというのは
想像を巡らせるほどに壮絶なことだし、そこに希望もある

かと言って、皆耐えているのだからあたりまえ、というわけでもない
わたしの痛みは、やっぱりわたしだけのもので、
だからときどき自分を褒めながら、ただ必死に自分自身をやるだけだよ

 

零れていくように感じる、もうありえない未来じゃなくて
いま、ここにいてくれる人たちを大事にしたい
取引先でも、お客さんでも、
恋人でも友達でも家族でも、そう

まだ見ぬこれからが、どんな風になっていくにせよ
目の前の人と出会わなかったという道は、
もう、どこにもないのだから