祝日の水曜日
窓を叩く雨と、3月とは思えない寒さに心が折れ
きょうでなくてもいい仕事を放り出して、半休に

再読をはじめた本の行間に、
この本はそういうものにしよう、と普段はしない書き込みをする
狭い行間では、hとmとnとuがほぼ波線の自分の字
大学でスウェーデン語を勉強していた頃、
たびたび自分でも読めなくなっていたことを思い出して、笑う

雨の音がしなくなったと思ったら
遠くにあわく、虹がかかっていた
この天気だからか、平日よりも近所はひっそりとしていて
すうっと消えていった虹も、なんだか密やかだった


夕方にカフェで作業をしていると
ずいぶんと、日が長くなったものだと思う

3月も20日になると
もう、夏至までの折り返し地点
その実感は、ここにいると薄いものだ

日の入りを過ぎて、青く染まっていく窓のそと
夜は、訪れるときが、一等うつくしい

 

きのうは、半年ぶりに
長年お世話になっている美容師さんに会えた日だった
顔を見られてうれしかったし、ほっとしたのは勿論だけれど、
切ってもらった髪が、とにかく扱いやすく軽やかで
彼女の偉大さをひしひしと感じた

別れ際、ぜったい無理しないで仕事してね、と言ったら
それはそっちやで、がんばりすぎ、
誰ももっとがんばれなんて言わないでしょ、言えないですよ、と
何倍にもなって返ってきて笑ってしまった
このやさしさよ

明るくさわやかな花を選んで作ってもらった花束は、
彼女に、これ以上ないくらいによく似合っていた


きょうが誕生日の父にも、
おめでとう、体を大事にしてねと言ったら
それはあなたです、自分を大事にしなさいねと言われてしまったし
こうして心配されてばかりの自分はやっぱりいやだから、
今年は休み休みいこうと思うよ、いや、本当に

もうすぐ桜が咲いて
その季節が過ぎたら、きっと店も落ち着くでしょう
そうしたら、もっと本を読んで、もっと勉強もして、
ひとりで短い旅にも出るつもり

これを、休んでいる、と呼べるのかはわからないけれど
穏やかで、のびやかな春になるように