確定申告に目処がついた瞬間、
仕事に勉強に趣味にと駆けずり回る

結果、毎日電池が切れたように眠り、
目の下のくまがとにかくすごい
もうちょっとゆっくりすればいいんじゃないの、とは思うけれど
やりたいことがすっかり溜まっていたのだった

 

きのうは、ベルリンから、
友人が会いに来てくれた

わたしたちは、彼が作るものを通して知り合ったので、
つまり取引先同士なんだけれど
プライベートでの付き合いが深くなり、そんな感じがあんまりしない
それでも、やっぱり5年間一緒に仕事をしているからこその、
ほかではできない話ができたりする
いいところ取りな関係だなあと、つくづくありがたく思う

店で喋り、ランチを食べながら喋り、
散歩をしながら喋り、お茶をしながら喋る
喋りつづけた6時間


小さなわたしの店をゆっくりと見て回ってくれた彼は、
スペシャルな場所だね、
きみが深い知識を持っていて、なによりいい人だというのが伝わる、と
真面目な顔をして言ってくれた

わたしは彼の作品こそ、技術はもちろん
作っているのがいい人だと一目でわかるから、愛されるのだと思っている
本人にもいつも言っているけれど、いつでも機会があれば口にしたい
彼はほんとうに、ほがらかでやさしい人なんだ

こういう単純なことが、仕事の根底にあるというのも
結構、いいかも

 

彼はいま、一昨年まではあまりにも忙しかった仕事をセーブして、
旅と仕事を交互にして暮らしている
この業界も、まわりの人たちも、自分も
今はなにもかもが大変で、とても心配だけれど
それでも僕は楽天的でいることにしたんだよ、という言葉には
何度も心が折れてしまったからこその強さがあった

わたしも、これでも、
ほんとうに動けなくなることがある
これまでこんなに懸命にやってきたのに、と落ち込んだりするし
日々、些細な言葉に傷ついて萎縮してしまったりするし
それで、店のため、あるいは自分のための選択ができなかったりもする

だけど、彼を見習って
店も自分自身も、必要以上に圧迫することはやめないといけない
なにより、この仕事を続けていって
彼みたいに信頼のおける人たちと、細くて愉しい道を行きたいから


改札まで送っていきながら
ベルリンに帰るころにオーダー送ってもいい?大変じゃない?と訊くと、
大丈夫、5月の次の旅までになんとかするから、と彼は笑ってくれた

友人で、取引先でもあるわたし達
また、一緒に、きっといいものを作ろう

つぎは来年になってしまうかもしれないけれど
互いにすこし軽くなって、
ベルリンの街を、並んで歩けたらいい