“出張後の営業”という期間を終え、
その日の夜からオンラインショップを開けたら
瞬く間に、水曜夜の今になった

スウェーデン、イギリス、そして日本で
買った本が廊下に積み上がっている
これまでほぼ手をつけられなかったやるせなさと、
これから一冊ずつ読んでいくんだと意気込む気持ちが、半々

干からびている末端に、
すこしずつ、水をやる
そうすれば、本格的に春が来るころには、
わたしも、ちょっとは元気になっているかもしれない

 

発送作業をほとんど終えた夕方、
明日のために店を整える

店頭からなくなっていた現行の商品を補充したり
ガラスケースを拭き、空いている場所をジュエリーで埋めたり
そこにあったものの不在を感じる、
寂しくもあるその一瞬が、なんとなく好きだったりする


そうこうしているうちに、
出会ったばかりの取引先からの荷物が届いた
うれしくて、すぐに箱を開けて検品
本当に小さな商品だけれど、うちには新しい風だ

箱には、手紙とともに、
過去商品だという可愛いブックマークが入っていた
今夜からの読書に使おう、と
鞄に入れっぱなしになっていた本に、そっと挿んだ

 


Loney Dearの新しいアルバムを
このところずっと聴いている

彼の曲を最初に教えてくれた人の影が、ふと過る
夜の作業場に流れる音楽、果てしないおしゃべり
悪戯っぽい青い瞳

たしかに存在していた時間を思う
美しく切り取ったっていいでしょう


雨に閉じ込められるような夜は
音楽が、遠くに連れていってくれる
都合がいいなあと、自分でもあきれてしまうけれど
たしかにそんな気がしている