海辺の保養地、ビアリッツの海岸
グレーの風景を前に強風に吹かれていたら、
みるみるうちに空が晴れ、光が広がっていった

遠くの白い灯台と、
紋を作りながら打ち寄せる波
遊歩道を歩いていた人たちはみな足を止め、
ただじっと青く変わっていく海を見つめていた

どう言い表したらいいかわからない、
こういう、何か大きな存在に与えられたような時間が
旅には、ふと訪れる

 

パリでの仕事を終え、中三日の休暇
フランスの南西の端、
バスク地方へやって来た

授業でちょっとバスク語に触れたことをきっかけに
この地域にはずっと興味があった
それで、大学生活の終わりにスペイン側は訪れたのだけれど
フランス側へは来られないまま
だから、今回は念願だ

まずは、バイヨンヌビアリッツ
サン=ジャン=ド=リュズを駆け足で巡る
体調を崩し気味なのに、
やりすぎなんじゃないかとは思うんだけれど
まあ、なかなかここまでは来られないから

 

 

バイヨンヌは、バスクの風情が濃い美しい町で
巡礼路にあるという大聖堂も素晴らしかった

さまざまなところを歩いていると
いつまで経っても、自分の知識の足りなさに不安になる
けれど、もっと沢山のことを知りたい
その土地が、その場所が語ってくれることを聞き逃したくない
そう思いつづけて今があるし、
これからも、そうして積み重ねていけたらと思う

初めて訪れる町で美しいものに触れると、
小さなわたしでも、せめて正直な旅人でありたいと願うのだ


遠くへ、もっと遠くへと、ここを選んだ
ずっと興味があったとはいえ、そう言ってしまうくらい、
バスクはもともと、わたしの範疇からは遠いというか、
エキゾチックな場所だった

だからこその休暇を、
存分に、楽しむつもり