6年間、店で履いていた靴を
ついに手放した

ちょうど10年前、2013年の6月末に
パリのレペットで買った靴
セールで1万円ほどだったけれど、それでも、
留学生だったわたしには大きな買い物で
勿体なくてぜんぜん履けなかった
その後、店をはじめてから、
ここなら汚れないかと置き靴にして活躍することに
以来、何日この靴で店に立ったかわからない

足を入れていない状態で記念に撮った写真は、
とてもじゃないけどここには載せられない、というほど
正直、この1年ほどは、店で履くことも憚られていた
まさか、こんなに履き古すことになるとはねえ
寂しいというより、いっそ誇らしい気持ち


いつか、この靴の二代目を手に入れて
また自分の店で履けたらいいなと思う
そうしたら、思い出も引き継げる気がする、というのは
あまりにも都合がいいだろうか

わたしの小さな店は
6年で、小さな店としては大きな規模になったけれど
わたし個人は、ずっと同じ靴で立っているような、
そんな気持ちでいる

 

 

Spotifyが教えてくれた、わたしが今年いちばん聴いた曲は
The National feat. Sufjan Stevensだった
正直、この曲をとくべつ聴いたという感覚はなくて、
とにかくアルバムをよく通しでかけていたので
一曲目が今年の一番になったんだろう

このアルバムに感じる実直さと、
とにかく暗くて静かな中に、滲むやさしさが好きだった
“First Two Pages Of Frankenstein”という、
暗さを象徴するようなタイトルも

たしかに、今年のわたしは、
こういうものが聴きたかったんだろうと思う


The Nationalは、ロンドンの大学時代の友人たちが好きで、
すこしずつ耳に馴染み、自分でも聴くようになった
だけど、今年のアルバムで、ロンドンの強い印象というよりは
どこでもないイメージになったという気がしている

過去からの枝葉は、気がついたら伸びている
こういう小さなことでも、そう

まだ見ぬ未来のことは、なかなか考えられないけれど
彼らが活動してくれるかぎり、
わたしのこの先の人生にも、彼らの音楽があるのだ、きっと