きょうの仕事を終えた、午後4時半
ホテルに荷物を置き、歩いて自然史博物館へ

ベルリンでは、日曜の夕方がちょっと空くことが多い
そんなときには、この場所に足が向く

先人の時間が詰まっている、博物館が好きだ
そこにいるだけで視界が広く、明るくなるような気がする
自分の蓋を開けて、風を通す時間


数日前には、半日休みをとって
スイスのザンクト・ガレンという町を訪れた
テキスタイルミュージアムと、修道院の図書館
どちらも、多くの人が生涯をかけたことの結晶のような場所で
小さなわたしには恐れ多くもあったし、
今行くことができて良かったとも思った

知は力だと、信じられる場所が好き
信じるというのは、思いの外むずかしいことだから

 

明日の午前にまだ、仕事を残してはいるけれど
ドイツに泊まるのは今夜まで
暑いなか駆け回り、本当にあっという間だった

今回は、なんていうか、
運が良いかといえばそうでもなかったんだけれど
ちゃんと、ドイツらしい仕入れができたと思う
慌ただしく、迷ったりもしながら、なんだかんだ合格点
最低限のことでも、それがいちばん大事だ

積み残したことは、
またここへ来たときにやればいい
それができるのが、わたしの仕事だし
ひとりだからこそ、そうできるように働かなくてはね

 

3年半ぶりのドイツ語には、
スケッチブックの新しいページを使うような清々しさがあった
発音にこれまで感じたことがなかった感慨を覚えて、
単語をひとつひとつ体に取り込んで噛み砕いた

いくつかの言語を学んで何年にもなっても
まだ、こうしてはじめてたどり着く場所がある
コロナがなにかを生んだなんて、正直言いたくもないけれど
停滞していたこの何年かで、わたしのドイツ語は、
想像していたのとは違う踊り場に来たみたい


それにしても、
ここぞと一週間ドイツ語漬けになっていたら
英語がよわよわになって笑ってしまった
ドイツ語とスウェーデン語しか口から出てこず、
まだこんなことがあるんだなと、これはこれで面白い

わたしがやめないかぎり、
語学もこうして、果てしなく、愉しく、続いていく
そう思えた数日だった