電車とバス、ロープウェイを乗りついで、
行ってみたかった、琵琶湖を見下ろせる場所へ

ロープウェイの山麓駅に書かれていた通り、
着いた山頂は雲に覆われ真っ白で、近くすらも見えなかった
それでも、そのうち晴れるでしょ、と一時間制のカフェのデッキ席に座り
呑気に、あたたかいクラムチャウダーを飲む

そうしているうちに、本当に雲は晴れてきて
影も形もなかった琵琶湖が、ぼんやりと現れてきた
広がっていく薄い青のグラデーションを眺め、
まだまだ時間はあるからゆっくりしよう、特等席だねと、笑う


“雨に濡れぬ場所を探すより 星空を信じ出かけよう”
そんな歌をここぞと口ずさむ彼には、
わたしとは違う種類の明るさとおおらかさがある

理解が及ばないことも多々あれど、
だからこそ、ひとりでは持てない時間が持てるのだった

 

 

帰るころ、山の麓は綺麗に晴れていて
ぶらぶらと、湖のほとりで過ごせる場所を探した
見つけた小さな浜には、木陰に傾いたベンチがひとつ
腰をかばってバランスを取りながら座り、
水に反射する光に目を細めて、飛び込んで遊ぶ子たちの声を聴いていた
  
わたしは、今暮らしている街がとても好きだけれど
それはそれとして、大きな湖や広い海のそばで過ごす時間は特別で
ずっと強い執着がある

いつかは、水辺で暮らすこともあるだろうと思っていたのに
案外、そうは転ばなかったな
だからこそ、休日に訪れるこういう場所が、
日々のささくれを癒してくれるように感じられるのかもしれないけれど

 

さて、昨日出かけていったのは、彼が土曜に関西で用事があり
この日、ともう決まっていたからで
わたしの予定から言うと、本来は休めない週の日曜日
朝早くからまず店で仕事、彼を見送って帰ってからもまた遅くまで仕事、と
なかなかのハードスケジュールだった

まあ、だけど、
こういうこともできるのだな、と思う
体力の問題はあっても、自分でなんとかできる範囲は広い
こうして、そのときどきでうまくやっていけるような気がするのは
きっと、ただの気のせいじゃないはず

もっと穏やかに、もっと朗らかにいるために
まず、頑丈でいられたらいいなあ
そんなことをあらためて思った、一日