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やっと来た休みの日
雲ひとつない青空に、気をよくして
花屋さんとドーナツ屋さんへ出かけることに

そろそろ身支度をしようかという時
ちょうど妹から母に、姪とピクニック中だという連絡が入り
せっかくだからと予定を変え、まずは顔を見に行く
喋り、はしゃぎ、フリスビーの如く走り回る姪に
元気だなあと感心しきり

数日前にはまだ蕾だった連翹もいっぱいに咲いていたので
姪に、れんぎょうっていうんだよ、と教えてみると
黄色い花をやさしく手で包んで、れんぎょう、と繰り返していた
姪のこういう細やかなところが、わたしは本当に好き

春を超えて、初夏のような陽気
眩しい午後だった

 

花屋さんでは、すこし迷って、フリージアを買うことにした
そろそろ季節が終わってしまうから、その前に

フリージアを見ると、いつも、
似た発音の名前の友だちを思いだす
ほがらかで、笑顔がやわらかく、
靴のつま先が花にかかってしまったことに気づいたときには
しゃがんで撫で、ごめんね、と言うような人
わたしにスウェーデンのこの時季の花を教えてくれたのも、彼女だった

いまは、かつてなくあの場所を遠く感じるけれど
またいつか、会って他愛ない話ができるかな


散歩道では、白木蓮も満開になっていた
年に一度のご褒美、お祭りのような季節

以前大好きなカフェだった場所の引き戸が開いていて
扉の近くにいたご夫婦に、思わず声をかけた
もうすぐ、週末だけのコーヒー屋をオープンさせるそうだ

ここは散歩道なんです、と言うと
そうなんですか、今ちょうど木蓮が綺麗ですよね、と
店主さんは眼鏡の奥で笑ってくれた


時間は流れる
どんなときでも、確実に

ほんとうの初夏がやってくる頃には、
この街は、どんな風に変わっているのだろうね