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絵に描いたようなゲリラ豪雨
折れた小枝が窓のそとの大通りを飛んでいき、
雨樋から、これまでに聴いたことのない音がする

嵐のあまりの勢いに不安になりながら、
デスクに持ってきた明るい花束を眺める
ひとりの、仕事の午後


雷に負けないようにと、マルーン5の新しいアルバムをかけて
そういえば、いつかニューヨークを旅したとき、
ずっとマルーン5の昔のアルバムを聴いていたな、と、思い出す
その少しまえに、友達が歌っているところを聴いてから、
突然、異常なまでの熱量でハマっていたのだった

ちょうど今ごろの季節、酷暑のニューヨークでも
やっぱり、こういう嵐に遭った

道路の数字をかぞえながら歩きつづけ
人波に流されながら、独立記念日の花火を見たりした
窓が開かないホテルのガタガタのベッドで、夜中まで、
大学に提出する、サーメについてのレポートを書いていた

ひたすらに美術館を巡った、
熱にうかされたような旅

 

毎日違う空気、移り変わる季節
それを感じ取ろうと、皮膚をさらすほど、
気持ちが閉じているのを感じてしまう

ちゃんと仕事が元に戻ればそれでいいと、強がっていたけれど
やっぱり、仕事のためだけでなく、旅に出たい
自分の範疇のそとで遊ぶ、一瞬一瞬の鮮烈さには
ほかにはかえられない力があるんだよ


ニューヨークも、またいつか訪ねたいな
今の自分なら、また見えるものが違うんだろう
一度だけの夏の旅が、あまりにも印象深いから
今度は、冬のいちばん寒いときがいい

いつか、を希望をもって、穏やかに考えられるのなら
それだけでちょっと、進歩だ