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母に聴かせたら、自分も欲しいから買ってと頼まれたCDが届き
新鮮で、ついつい写真

ストリーミングの画面で見慣れたアートワークが、ものとして手元にあると
ちょっと嬉しくなるのは、なぜだろう


母は、スマホで音楽を聴かない
何曲か、ダウンロードしてあげたこともあったのに
結局、CDを買い、台所にあるプレーヤーで聴いている

かたや、わたしはほとんどストリーミング
Spotifyがメインで、Amazon Musicはクラシック用、
店のライブラリはApple Music
そして、その中にない曲や、特典が欲しいCDだけ別に買っている

Spotifyがわたしの生活に登場してからだと、もう何年になるのか
ときどき、ふと我に返って、
こんなに聴けていいのかなあ、などと心もとない気持ちになったりする


わたしのスマホで試聴をし、これとこれを買って、と言う母を見ていると
子どもだった頃の記憶の断片が、ふわふわと浮かぶ
CD屋さんであちこちの試聴機を回って、
どれを買うか、いくらでも悩んだっけ

戻りたいわけではないけれど、
届いたCDを手に、プレーヤーをちゃんと拭いてから聴くわ、などと笑う母を
すこし羨ましくも思うのだ

 

きょうは、今年いちばんの暑さ
もう、起きた瞬間から暑く、身支度をする洗面所も暑く、
外を歩いても仕事をしても買い物をしても暑かった

そろそろ、窓を開けて営業をするのも大変な季節だけれど
昨年の夏はどうしていたのか、もう思いだせない
記憶がはるか遠いものよりずっと粗く、
そもそも、全部がわたしではない誰かが撮った映像みたいだ

ざらざらとした、途切れ途切れの日々も
それなりの情緒がある、と振り返れるときがくるのかな


夜、ようやく30度を下回ったぬるい空気のなかを掻いて、
コンビニで、発売されたばかりのアイスを買った
それでなんとなく満足したのか、食べることをすっかり忘れて
0時を過ぎて存在を思い出し、悩んだ末に開けた

淡い緑色のアイスを齧りながら、
いつか、2021年の初夏を振り返ったときに浮かぶのが
こういう瞬間だったらいいと思った

 

 

きっとこれからも、何百回でも、何千回でも聴く演奏
母が、CDが欲しいと言ったのも、この曲だった

祈りに似た時間を携えて
とにかく、歩いていくしかないんだろう、今は