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通っている静かなカフェ
日替わりケーキの中に、ウィークエンドシトロンがあって
紅茶と一緒に、迷わず注文する

長いカウンターの隅っこ、壁ぎわの席にいると
壁の高い位置にある窓から入ってくる風を感じる
布のカーテンがひらりとめくれ上がるたび、
明度の高い、薄い水色に光る空が覗く

三日分の日記をまとめて書いて
二杯目の紅茶を、ポットから注ぐ
そして、また、本

深く息をするたび、
さわやかな風が、身体をめぐるような気がした


最近は、わりにすっと眠れる日と
朝までまったく眠れない日が、交互に来る
きょうは、よく眠れた日で、
目覚ましもかけずに、早くに起き上がった

通販の仕事も早く始めたので、時間に余裕があり
夏のような気候だけれど、ちょっと散歩をした
ときどき二羽そろって水路にいる鴨にも会えたし
雲の少ない空に似合う、すがすがしい日だった

毎日こうだったらいいのにねえ、なんて
言ってしまうからいけないのかしら
きょうは本当に気持ちのいい日だった、でいいよな、と
ふわふわ考えて、なんとなくほっとした

 

スマホが鳴った気がして、見てみると
サン=テパンという町にある毛糸メーカーからのメールだった
以前、まったく読めないフランス語でなんとか注文したのだったけれど、
ニュースレターももちろんフランス語
毛糸は可愛いけれども、ぜんぜん読めない

けれど、どこまでも続きそうな文字の羅列をなぞって
もしかしてこういう意味かもと推測するのは、楽しかった
そういえば、出張のない今、
目に入るのは、自分が直接求めている情報が大部分で
どうしても、読めないものと接する機会は減っている


頻繁に出張に行っていた頃も
たとえばフランス、ポルトガルやスペイン、チェコで、
言語がほとんど理解できない状況になると、伸び伸びしていた
学んでいる言語に理解する責任が生じるわけでもないのだけれど
単純に、自分に課すハードルがなくなるからだろう
読めない、聴こえてこない、
そういうときに感じる軽やかさもある

結構ひさしぶりに、こういう種類の楽しさを感じた気がする
あえて、読めない言葉に触れようとしてみてもいいのかな
読んでいるうちに、勉強したくなってしまいそうだけど

 

閉店間際のカフェから帰るとき
ウィークエンドシトロンをもうひとつ買って、包んでもらった
これで明日も元気、かもしれない

自分でどうにかできることと、できないことがある
それはそうなんだけれど、
すこしでも、元気でいようよね