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三月最終週
まだ、激流のさなか


身体のなかにある言葉が、ぜんぶ
外へ流れ出てしまったような、最近
夢でまで追い込まれるほどの忙しさもあるけれど、
そもそもわたしは、春はこうなりがちだ

花が咲き、葉が広がりだして
喜びながら、落ち着かない自分に気がつく
わたしより植物のほうが、よほど生き生きと元気で
なんだか気が引けてしまうのだった

そうはいってもね
とにかく、がんばっていくしかないんですけれども

 

きょうは、午前と夕方に仕事を固め、
お昼すぎに、妹と母と、哲学の道へ歩きにでかけた

桜は、ちょうど満開の花をつけて
枝を軽やかに伸ばしていた
哲学の道の桜は、楚々としていて、涼しげなのに
不思議とアンティークのような風合いもある

こんなときだし、ぶらりと一往復しただけだったけれど、
今年も見られて、よかったな


このあたりを歩くと、
小さな子どもだった頃のことを思い出す

ときどき連れていってもらったレストラン
ねだって風ぐるまを買ってもらった店
バレエ教室の帰りの楽しみだった、
アイスキャンデーや、大文字焼や、魚肉ソーセージのこと

なくなってしまったものも多いけれど、
変わらず、ありつづけてくれるものもある
桜と、疎水とともに、
来年もここにあってくれることを、ただ、願う

 

桜は、あまりにも美しすぎる
どうしようもない、たまらない気持ちになるのに、
どうして、見なければ、と出かけてしまうんだろう

今年も咲いた花を、巡り巡る季節を、その儚さとたしかさを、
三月らしからぬ日差しのなかで、思った