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息継ぎの日曜日
相変わらずの不眠で生まれた、靄のような眠気を引きずりながら
本を読み、ピアノを弾き、靴下のつづきを編んで
2時間だけ仕事をする

先週、ひさしぶりにCDを買った
ラップトップに取り込むべく、外付けのドライブを探しているうち
つい、最近サボっていたバックアップをはじめてしまう

そうこうするうちに、もう夕方
まあ、こんな日もあるでしょう

 

恋人との電話中
ふと、ふたりでブライトンに泊まったときのことを思いだした
一月の末でとても寒い日だったけれど、夕暮れの海岸は美しく
泊まったB&Bは、地元の食材を使った朝食がとても美味しくって
Mr. Wattsという名前の猫がいた

彼にその話をしたら
『猫になりたい』を口笛で吹いたので、驚いた
あの朝、彼がかけて口ずさんでいた曲
もう8年半も前のことなのに、覚えているものなのだね

彼の口笛は、澄んでいて、軽やかで
思わず、じっと聞き惚れた


あれから、一度だけあのB&Bに泊まったことがある
Mr. Wattsは健在で、わたしのフィッシュ&チップスを虎視眈々と狙うので、
人間の思う猫を地でいくなあと、可笑しかった

年に三回、四回、仕事でブライトンは訪れていたけれど
毎度日帰りなので、この三年、Mr. Wattsには会っていない
こんなことになるなら、会っておけばよかったと思う
後悔というのは、いつだってこんな風だ


なにもかもが落ち着いたら、なんて
まだ、想像もつかないけれど

きっと、いつか、と
親しんだ街と、遠くにいる猫のことを、思う夜