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母が、無事退院したので
襲いかかる仕事をなんとかやっつけ
11月から計画していた関東遠征を決行

日本の大学時代からの友人たちと喋り倒し
恋人と、ひさしぶりに、那須まで出かけてきた
ただ、ずっと近くにいてくれている人たちとその場を共有した、
さっぱりとした“帰京”だった


わたしは、東京近辺に
実は7年も住んでいた
けれど、そのあとロンドンに移って、
今も毎年足すとひと月は滞在しているので、第二の町はそちらになり
どうにも、東京は、過去と結びついてしまう
そのうえ、あまりに変わるスピードが速すぎるために
住んでいた当時の面影ですら消えていたりして、
目印を失い迷子にでもなったようで、ただただ心ぼそい

けれど、この街で沢山の時間をともに過ごした、
彼や何人もの友人たちが
いつもわたしに、そのときどきの東京を作ってくれる

過去でも未来でもない、わたしの今が
ちゃんと、ここにも

 

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恋人とは、最近
どのみちどちらかが遠出になるなら、と
小旅行に出ることが増えた

そのたび、乗り物などを予約してくれたり、
行きたいところを考えてくれるようにもなった
自分で、コンシェルジュと名乗って胸を張っているけれど
本当に、あまりに優秀すぎてもはや怖い

今回は、行きの電車のチケットを、
個室コンパートメントにしてくれていて、心底驚いた
サプライズはなんでもないときにするからいいんだよ、と言うので
なんだか妙に納得してしまった


むかしは行かなかった場所へも行き
むかしはしなかった小さな贅沢をする

10年前とは、また違う
穏やかに、でもちゃっかりとはしゃいだドライブ

13年目ともなると、ふたりとも歳を重ねて
それなりにいい方向にも向かっているので
楽しいことも増えるものなのだね

 

移りゆく風景と、
変わらず親しい人たちの変わりゆく人生のなかに
とにもかくにも、こうして、存在することができる

今年も新幹線に乗って、出かけていく理由は
それだけで十分だ