12/6
前日にお客さんからいただいた、かわいい羊羹
ふっと空いた時間に、開けた
一緒にくださったカードも、もういちど開け
美しい文字に、惚れ惚れとする
わたしも、お習字に通っていたはずなのに
いったい、あの時間はどこへ行ってしまったのか、
好きな字を書けたためしがない
それにしても
こんな風に、遠くのわたしを気遣ってくれる方がいるのだなと
こういう機会があると、いつも新鮮に驚く
がんばろうと思うよ、本当に
12/7
土曜らしい混み具合のなか
陶器でいっぱいの大きな箱がふたつ、届く
店内にも廊下にも置く場所がないので
とりあえず、共用スペースに積んでもらう
夕方に謝りに行くと、お隣さんは、
ふたつの箱がゆきだるまみたいと笑っていた
中身は、100個を超えるマグと、
それから、はじめて注文した小さなボウル
マグを愛用しているけれど、これもとても素敵で
自分にもひとつ、買うことにする
誰よりもこの店の商品を愛しているのは、
やっぱりわたしじゃないかしら
12/8
悩みに悩んで買ったピアスが、イギリスから届いた
恐竜と天体とキラキラしたものが好きな子供が
大人になると、こうなる
値段が張るので、ずっと迷っていたわたしに
恋人は、半分ずつ出し合って片耳は俺がもらおう、
だけど、つける穴がないから貸してあげる、と
わけのわからない提案をしてくれた
それは丁重にお断りをしたわけだけれど、
決心がついたのは、あのやりとりがあったから
彼は、わたしがどうしても欲しいものというのを
きっと、よくわかっているのだった
12/9
あまりに天気がよいので
仕事をいったん放り出し、河原へ
てくてくてくてく歩いて花屋さんまで行き
お隣さんと自分の店に、ドライの束を買って帰る
インフルエンザの予防接種を受けたせいか
熱が出て、身体が重い
きのう届いて、楽しみにしていた文學界を
ベッドで読む、夜
読むものがありさえすれば、
体調の崩れは多少ならどうでもよくなるな
—
お隣さんと、立ち話
この2年を振り返ると、
あっという間だったような、ずっとここにいるような
不思議な気持ちだねと、話した
10年後には何してるんですかね、
こうしたいみたいな希望ってありますか、という言葉に
どうだろう、と、首を傾げる
こうして店をやっているのも、
いま自分の持てるものを最大限に生かせるのがそれだからで
わたしは、店を持つということに、
正直なところ、執着がない
わたしの“こうありたい”というのは職業ではなく、
自分が、簡単には得られない知識を持っているかどうかと
誰かに伝える場所がちゃんとあるかどうか、
そして、それが、
残そうと思わなければ残らない類のものを守って次に繋ぐ、という
巨大すぎる目標にすこしでも貢献するかどうかで
だから、そのときのベストを選択する、というのは
わたしにとってはもっとも誠実なことなのだ
“こうありたいっていう形があるなら
ラクするためにそれ崩しちゃいけないと思う、
これは自分にはいらないって思うなら意地をはったらいいし、
その意地のために手間ひまかければいいと思う”
2013年のわたしのツイート
いまも、変わらず、そう思っている
10年後も
きっと、そう