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ストックホルムでの2日半を、なんとか終え
町の東にある港へ向かう

この旅最後の目的地
エストニア・タリンへ

船旅が好きだ
特にバルト海では、スウェーデン、フィンランド、
ドイツやリトアニア、ラトビア、エストニア、それからロシア
これまで、多くの航路に、
何度もなんども乗ってきた

夜行フェリーは、北欧では、ホテルよりずっと経済的だし
眠っているうちに着くから、時間の無駄も少ない
それにバルト海は内海で、揺れる場所もそこまで揺れないので、
船酔いをすることも、普通の天候ならあまりない
荷物の移動も、飛行機のように苦にならないし
いいことずくめの交通手段だと、思う

けれど、本当は
そういうメリットを全部、とりあえず置いておいて
わたしはただ、船に乗ることが好きなだけ

進む船の勇ましさや、
威勢のよい、独特の水音
どこまでも続きそうな波、ぼんやりと霞む遠くの島、
張りつめたような水平線、月の明かりがつくる道
そういう全部を、わたしは愛しているのだった

船では、いつも
必要以上に夜更かししてしまう

本を読んだり、なんとなく何かを書いたり、
コーヒーを飲みながら、ただ海を眺めたりする
わたしにとって、移動はエネルギー源だけれど
船は、さらに特別だ

離れていく陸地や、刻々と変わっていく海の、
ゆらりと揺れるような落ち着かなさ、心ぼそさでさえも
わたしに手を貸してくれるという気がする

エストニアでは
この2週間よりは、自由な時間を持てそう

旅最後の数日を
すこし、穏やかな気持ちで、大事に過ごしたい