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レイキャヴィーク行きを決めたのは
実は、ひとりの女性に会うためだった


彼女は、ニット・デザイナー
わたしたちが編むためのパターンを製作したり
糸のプロデュースをしたりするのが仕事だ

わたしが編み物をはじめたのは、2年前だけれど
その方のことは、そのずっと前から知っていた
アイスランドの編み物文化を
いまの生活に合うようにアレンジして、伝えている人
その姿勢に、美しいパターンや糸に
ずっと憧れていた


色々な事情があって
今回は、仕事でもないのに、アトリエに招いてもらった
予想以上に、お話を聞くことができたし
彼女のほうでも、わたしの話を聞きたがってくれた

アイスランド・ウールの糸をたくさんと
彼女が書いた本を買い、サインまでいただいた
夢みたいなできごと

わたしとの出会いが、彼女にとってもよいものだったことを
本当に、願う

 

アイスランドは、特殊な国
世界でもっとも古い近代議会を持ち
ほかの地域には見られないような古典文学が花開いた
けれど、中世以降はずっと独立ができず
貧しくて、文化的にも弱かった

そんな中で
糸は、編み物は、生き残った文化だ
技術や、特徴のある模様などといっしょに、
土地に根ざした考え方が、伝わってきている

振り返りたくないような、近世を
くぐり抜けてきた、アイスランドらしさ
それが、どれほど貴重なものか


すべてのスピードが速く、
そしてなんでも消費されてしまう、いま
こういうものは、価値があることを明確にして
強い意志をもって残そうとしないと、残らない

地道に、広く深く、知識を集めて
そして、次の世代にきちんと伝わるように
まずは、同じ時代を生きる人たちに、興味を持ってもらう

商業的な、劣悪なものになってしまわないように、
かと言って、人々から無視をされないように
ものの核を守るためには、知識と情熱だけではだめで
バランス感覚と戦略が要る

彼女は、そういうことができる人だ
実際に会って、話をして
やはり、こんな風に考えているのだなと
答えあわせができたような気がした

 

勉強する、というのは
わたしには、ずっと、あたりまえのことだった
知りたい、もっと知りたい、とそればかりで
それで得たものをどう使いたいのか、ということは
あまり考えていなかったように思う

だけど、いまなら
使えるようになった言語と、たくわえてきた知識をもって
守りたいもののことを、これは価値があるんです、と
きっぱりと言うことができるんじゃないか
数年前よりも、ずっと多くの人に、
言っていることを信じてもらえるんじゃないか
いや、それはちょっと甘いかもしれないけども


まだまだ足りないものだらけ
でも、わたしも、いつかは彼女のように
大きなものを守りたい

そう、気持ちを結んだ
たくさんの言葉が飛び交った、時間だった