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天気予報が外れ、快晴のバルセロナ

地下鉄を乗り継ぎ
行ったことのないエリアへ
どっしりとした複合ビルに、たどり着いて
5階へ上り、呼び鈴を鳴らす

出迎えてくれた女性が、わたしの名前を呼び
明るく招き入れ、右手を差し出してくれる
はるばるスペインまで来た理由のひとつは
はじめて見る、この人の笑顔

 

スペインの取引先というのは
実は、いまのところは、1社しかない
単純に、スペインは専門外だからなのだけど、
昨年の春夏は、どうしても明るいものが店にほしくなり
“夏休みのようなもの”ということでいいかな、と思って
この会社と、取引をすることにした

そうして扱いはじめた、彼らのものは
ブックマークを筆頭に、とてもよく売れている
それで継続してやっていけることになり、
こうやってバルセロナまで会いに来れることにもなった
本当にありがたいことです

続けていける、というのは
実は、想像以上に幸運なことなのだ


彼らは、うちの取引先にしては大きく、6人のチームで
きのうは、デザイナーの男性とマーケティング担当の女性、
いつもやりとりをしている販売担当の女性の3人が
わたしをあたたかく迎えてくれた

コーヒーを飲みながら、さまざまな話を聞き
こちらも淀みなく、いまのそれぞれの売れ行きや意見などを話す
こうして時間を取ってもらう以上、
ちゃんと、彼らの役に立ちたいのだった


これまであまり扱っていなかったノートが、どれも素敵で
わたしの店ノートが多すぎるんだけど、どうしよう…と呟くと
ノートっていうのは個性があるからいいものだよ、
それぞれ使い道がまったく違うんだ、と言われ
たしかにそうねと、笑う
さすが、ノートを8型、全部で38デザインも出している彼ら
言葉に重みがあるな

あっという間の
密度の濃い、1時間

 

午後は、販売担当の女性が
彼女のシエスタをまるまる使い
昼食に連れていってくれ、街を案内してくれた
殺人的に美味しいタパスをふたりで分けながら、
彼女は、涼しい顔をして白ワインを飲んでいた

思っていた通り、快活な優しい人だった彼女は
ペルーの出身だという
それはメールでは話していなかったから、すこし驚いた

高校まで居たリマを出て、バルセロナの大学に進学し、
その後、ヨーロッパのあちこちを転々として
また、この街に戻ってきたらしい
ばかみたいな質問かもしれないけど、バルセロナは好き?と訊ねると、
好きね、バルセロナは一言でいえば均一で、
どの場所もバルセロナ以外の何でもなくてちょっと退屈ではあるけど
でもそんなところがいいと思うわ、と、笑って答えてくれた


仕事のこと、素敵なものや好きなもののこと、
わたし達がこれまで暮らしてきた町々のこと
飽かずに話した、シエスタの3時間

きっと、ちょっとだけ、お互いの人生のことを思って
じゃあまたねと当たり前のように言い合って、別れる
心地よい時間だった

 

スペインに来ることを決めたとき
実は、迷っていた
さっきも書いたけれど、スペインは専門外で、
深入りしていくのはよくない気がしていたし
バルセロナのその会社は、基本的には販路をどんどん広げるという方針で
わたしとは合わないのでは、
いつか取引ができなくなる日が来るかもしれない、と
不安に思っていたということもある

けれど、実際に来てみると
バルセロナでもマドリードでも、予想よりずっと実りがあった
取引先を増やすかは、これからゆっくり考えるけれど
たくさんの人と顔を合わせて、話したいこともしっかりと話して
あらためてここで人との関係をつくる、一歩になった気がする


たった3日の弾丸スペイン
でも、来てよかった

実は取引先の彼らには、つぎは9月に、パリで会えるけれど
もっともっと、経験を積んで
また、バルセロナにも来られるといいな