今年二度目のロンドンは
初日の仕事が、なくなってしまって
強制休みでのスタート

あまりに幸先がよろしくないので
さすがにちょっと落ち込むけれど、しかたない
どのみち、あとは明後日以外は、
ぎゅうぎゅう詰めのスケジュールなのだ


時差ぼけで、5時ごろには爽やかに目覚め
開店と同時に近所のカフェで朝ごはんを食べながら
どこへ行こうか、考える

雲ひとつない青空を見上げ
こうでもないと、なかなか行けないところ、と
すっきりと心を決めた 

 

f:id:lumi31:20190515054352j:plain

f:id:lumi31:20190515054418j:plain

 

大学生だった頃は
年間パスを持っていた、キュー・ガーデン

あちこちの国の、あちこちの植物園、
そしてあちこちの温室を制覇し
考えごとをしたいときには温室、というわたしだけれど
ここは特別のなかの特別だ


伸びやかな植物の、濃い匂い
優雅だけれど鬱蒼とした、整うこととは無縁の空間

螺旋階段を上って
茂る葉を、そのさまざまな形を、眺める

木と同じ高さのそこは、下よりもさらに濃く、
夏の雨のあとのような葉の匂いがする


どうして、温室を特別に思っているのか
言葉にするのは本当にむつかしいけれど

この匂いと、水を含んだ空気、重なる緑らしい緑の植物は、
静かに呼吸をして眠る大きな生き物のようで
優しく、でも、有無を言わさぬ迫力があって
わたしはそのことに、いつもなんとなく安心するのだった

 

f:id:lumi31:20190515054512j:plain

 

あれこれを、すこしだけ
分解して、収めるところに収められたような気がする

春というより初夏の、明るい陽を浴びながら
あしたからのことを、思った
美しい数時間だった