身体から、言葉がぜんぶ流れ出ていったように
なにも話せなくなる時期が、ときどき、来る
なんの前触れもなく
自分のなかの言葉が消える
こういうときは、程度の差はあれど、
どの言語もだめ
とりあえず、読むものを調節したりして
なんとかやり過ごす
いつも、そう
メロウな春
なにが正しいのか、わからなくなる
この季節の京都は、
爆発的ではないにせよ、静かに狂っている
桜、山躑躅、木蓮、石楠花
花は、わたしの意識を、
ここではないどこかへ連れ去ってくれる
春が好きだ
なにが正しいのか、わからなくなるから
言葉が出ない
口に出せない、出したくないことが多い、わたしには
救いのようにも感じる