大きな束から、ぐるぐる糸をとって
手で、毛糸玉をつくる

子どもの頃、祖母の家に行くと
こうして、毛糸玉づくりを、手伝った
小さな手に糸を巻きつけて、ふわふわと戯れ
玉がまるく大きくなっていくと、得意な気持ちになった

玉巻き器が、ほしいような気もするけれど
記憶がよみがえる時間が、愛おしくて
まだ、このまま


わたしの母方の祖母は
手先のことが、なんでも、上手なひとだった
わたしと妹のために、浴衣を縫ってくれたり、
人形のセーターなんかを、細い糸で編んでくれたりもした

身体が動かなくなる病気だったから
編み物は、だんだんやらなくなってしまったけれど
それでも、ミシンを使うことはやめなかった
晩年、父の古いワイシャツを、いい生地だから勿体ないと言って
エプロンに仕立て直したときは、笑ってしまったものだ

いま思えば、もっと色々、習えばよかったな
遠くに住んでいたから、実際むずかしかったんだけれど
それでも、ずっと、ちりちりとした痛みが残っている



さてさて
きょうは、なんだかんだ、ばたついた一日だった
検疫や税関とのもろもろ、新しい契約の確認、
数多いメールの返信で、時間が飛ぶように過ぎていく
いやもう、本当に、どうにかならないものか

夕方、病院へ薬を取りにいき、外に出ると
すっかり暮れた空に、細い月が浮かんでいた
ああ、もうこんな時季かと目を見張りながら
この数ヶ月の目の回るような日々のことを、思った


あしたは、水曜日
きょうと同じで、お店は開けていない仕事の日だ

余裕しゃくしゃくでできたらいいな
いいことが降ってきたらいいな
そんなことを、半分冗談みたいに言いながら
あしたもがんばろうっと