季節を感じに
愛している場所へ

頻繁に訪れている、小さなお寺
ここへ来るときは、いつも、ひとりだ


鮮やかで乾いた、紅葉の色
きょうは、ここも観光の人で混んでいて
携帯電話のシャッター音が、切れ目なく響く

人がふといなくなった、瞬間
耳をすますと、遠くに、電車の音
それを聴いて、ようやく、
この場所に来たという気がした


ぽっかりと浮かんだ、言葉のない30分

途方に暮れるわたしに
ここでは、誰も、何も言わない



きょうは、午後
スウェーデン語の授業もあった
授業といっても、精読している本について質問をする以外は
先生と、雑談をしているわけなんだけれど

時間を追うごとに
スウェーデン語を話すのが、楽になっている
上手くなった、というより
日本語より英語より、スウェーデン語が気楽というだけ

わたしの第三言語
不自由はあまり感じず、過敏になることもない
ちょうどいい距離感だ


言葉を得る、というのは
世界をまるごと得ることだ、とわたしはよく言うけれど
つまり、相応の自由を得るということでもある

思い通りにいかなくて落ち込むことが、いくら多くても
上手い下手に関係なく、自身のなかで言葉は育つし
それに、たとえばある言語から、逃れたいとき
ほかの言語に立てこもれるというのは、いい



面倒な事務作業も端から片付けて
時間を余すところなく使った、一日
良いような、悪いような、と
さすがに疲れた身体を、バキバキ鳴らす

雨の音を聴きながら
まずは、眠ること