半年間、お世話になっていた
スウェーデン語の先生との、最後の授業

彼女は、今月、スウェーデンに帰ってしまう
それは最初からわかっていたことだけれど
もう、めちゃくちゃ、寂しい


授業、といいながら
毎週二時間、ほとんど、ふつうの友だちのように喋っていた
けれど、ちゃんと“先生”らしさを失わずに
わたしが発した言葉の細かいミスを、丁寧に言い直してくれたり
しっくりくる単語を、一緒に探してくれたりする
そういう彼女の誠実さが、とてもとても好きだった

日本語を、ほんとうに懸命に勉強していて
わずか1年半のあいだに、日本語能力検定を1級まで取ってしまった人
そんな先生とだから、できる話が沢山あった
言語のおもしろさ、語学の厳しさと楽しさについて
毎週、飽きもせず喋って、一緒に納得したり笑ったりした

言葉に真摯に向き合うということを、
彼女から、あらためて教わった気がしている


でも、うん
なにより寂しいのは、先生と毎週会えなくなること
わたしにとって、スウェーデン語を話すのは大事なことだけれど
それ以上に、彼女と話をする時間が、大事だったのかも

先生は、わたしが去年住んでいた学校のすぐ近くの出身
5月に学校に展示を見に行くよと言ったら、
じゃあまたすぐに会えるね、と、彼女は目をまるくして笑った
わたしも来年また日本に遊びに来るし、その時も会えるよ、とも言ってくれて
ああ、これからは先生生徒ではなくて友だちになるのだな、と
ちょっとくすぐったい気持ちだった


最後は、スウェーデンらしくハグをして、別れた
あなたに会えて楽しかった、
全部うまくいくように祈ってるわ、という言葉に涙をこらえて
こちらこそ、あなたはとてもいい先生だった、と、言った

これで終わりなわけじゃ、ぜんぜんないけれど
やっぱり、穴があいたような感覚
そういえば、わたしはこんな風に誰かを送ったことがあまりない

わたしをイギリスやスウェーデンから送り出した友だちも
こんな気持ちだったんだろうか、と
いまさら、考えた


さよならの季節
時間は、どうしたって流れるから
前へ、前へ

まずは5月を楽しみにして、
笑顔で、見送るだけ