たい焼きが食べたくなって
五条まで、出かける

京都は、さほど広くない
地下鉄の駅が近いところなら
心理的な距離は、割とどこも似たようなものだ


ビルの二階のカフェで
コーヒーとたい焼きとともに、考えごと
作ってあったリストの項目を
ひとつずつ、煮詰めて、消していく

マンションと目の前の歩道橋で、狭まった
雲ひとつない空を、見上げる
五条通をつぎつぎ行く車と、
せっかちに、横断歩道を渡っていく人たち

カウンターの片隅では、ふたりのエリザベス女王
カタカタと手を振りつづけていた



帰りは、めずらしく
新町通を、四条まで上っていくことにする
近くまではよく来るけれど、
このあたりを歩くのは、何年ぶりだろう

夕焼けにかかる電線
マンションと昔ながらの家、足もとをすり抜けていく猫
わたしの地元とは、また違う風景だ

いつかこのあたりに住んでみるのも、楽しそうだけれど
ちょっと、山も、川の上流も遠すぎるかしら
日々の散歩の場所は、わたしにとって一大事なのだった


今は、なにかを得ようとしなくてもいいと
自分に言い聞かせて、過ごす
意識が裏目に出そうだから、という、意識

年が明けて、一週間
そうしてまた、週末がやってくる