ルンドを離れるとき、大学の本屋で買っておいた参考書を
ようやく、いま、使いはじめた

Danish for Swedish speakers
その名前の通り、
スウェーデン語とデンマーク語の違いを説明した本だ
来年に向けて、少しだけでもデンマーク語をマシにできればと
まずは、ここから



スウェーデン語を、それなりに使うわたしにとって
デンマーク語は、“ある程度わかる言語”のひとつで
たとえば、本や新聞などは、
ときどき辞書を引けば、わりと普通に読むことができる
デンマーク人の友だちとの会話も、
困ることはあっても、意思疎通ができないというほどではなかった

だけど、スウェーデン語とデンマーク語は
やっぱり、違う言語であることにはかわりない
似ているからといって、同じなわけでは全然なくて、
違う場所、違う文化のなかで育った、違うもの


そう実感するにつれて
簡単なフレーズですら、自信を持って、
デンマーク語”として発することができない、というのは
礼を欠いている、と、思うようになった
勿論、スウェーデン語を話せば、ある程度わかってもらえるけれど
まあ、うん、これはわたしの気持ちだけの問題

それで、次のデンマーク語を使う機会までに
ちょっとなんとかしたいな、などと思っているわけだけれど
果たして、本当になんとかできるだろうか
自分を使った、新しい実験だ



けれど、今の、デンマーク語を読んでいるときの感覚が
もしかしたら失われてしまうかもしれない、と考えると
すこし、寂しい

とても説明しづらいのだけれど
知らないのだけれど知っている、解らないのだけれど解る、
デンマーク語に接したときの、ミステリアスな体感が
わたしは、なんとなく好きなのだった


言語を扱う力には、とにかく細かく段階があって
ひとつ上れば、下の階層に居たときの感覚というのは
ほぼ完全に失われてしまう

未だ、言葉の壁に囲まれて逃げ場のないわたしには
そんなことを言っている余裕は、本来ないのだろうけれど
でも、そのときそのときの言語の手触りを
なるべく覚えておきたい、とも、思う


とはいえ、言語は言語
レベルが上がるに越したことはないわけで

この複雑な気持ちを、そっと守りながら
すこしずつ階段を上っていけたら、いいな