こうして気ままに過ごす、
雨の夜が、好きだ
この部屋は、あまり、外の音が聴こえない
車が走っていくかすかな音で、雨だとわかるけれど
暖房をつけると、それもかき消されてしまう
目の前の道路も、車も
煌々と明るいコンビニも
もうすっかり黄色くなった銀杏の木も
外国風の植え込みに残る秋の花も
音が聴こえなければ、全部、はるか遠くに感じる
スピーカーを、外に繋いで
ずっと雨音を聴いていられたら、いいのに
窓辺に置くために
アームチェアが一脚、ほしいと思っている
うんと座り心地がよくて
何時間でも本を読んでいられる、
静かなたたずまいの椅子
わたしは、たぶん
概念としての窓辺が好きで
それに見合う、小さな要塞がほしいんだろう
カーテンに潜って
そっと、すこしだけ、窓を開ける
誰もいない通りは
かすかな雨に覆われて、余計にひっそりとしていて
やっぱり、なんだか遠かった