雲ひとつない
これぞ秋晴れという、空


ワーズワースの詩集を持ちだし
コンビニでコーヒーを買って、河原へ
陽当たりのよい場所に、一人用の席をつくって
ゆったりと流れに浮かぶ鴨を眺める

目を閉じても
瞼の裏で、光が揺れる
あたたかい陽のなかを、風が横切っていくたび
髪が空気を含んで、気持いい

青すぎる空のせいか、
目の前の風景は、なんだか、一枚の絵のようだった


“Soft as a cloud is yon blue Ridge ― the Mere
Seems firm as solid crystal, breathless, clear,
And motionless ; and, to the gazer's eye,
Deeper than ocean, in the immensity
Of its vague mountains and unreal sky!”

それにしても、水と風の似合う本だ、と思うのは
ワーズワースが暮した、グラスミア、その湖の印象だろうか




明るい音と、甘く馴染む声を、光に溶かして

きりのない贅沢を楽しんだ
美しい午後の、二時間