ちょっと、可愛らしくしすぎた爪
正体不明の罪悪感を、振り切る

ネイリストさんが
ネイルって結局自分のためやねん、内に向いてる、
わたしのお客さんはみんなそうかな、と言っていたけれど
しばらくの間、他はともかく爪だけはちゃんとしよう、と
決めたわたしも、まあ、そうだ

複雑な段階を踏むことなく
幸せを得られるものものは、尊い



頭をフル稼働させた、一日の終わりに
検査のため、血を抜かれる
また、身体は下り調子で、
いいかげん、途方に暮れてしまう

痛みも違和感もなく、眠ることができれば
なにも気にしないし、なにも望まないのだけどな、と
どこにも向かわない恨み節


観念して、特に大事な本だけが並ぶ場所から
サン=テグジュペリ『夜間飛行』を、抜き取る
この本は、昔から、買っては行方知れずにしてしまっていて
今持っているものは、たぶん四冊目くらいだろう

サン=テグジュペリの作品で、もっとも好きなものは
おそらく『人間の土地』で
これまでに日本語、英語、スウェーデン語で読んでいる
この本は、旅先で突発的に読みたくなるので
結果として、多言語で読むことになったのだった

けれど、こんな風に、どこか心細い夜に
開きたくなるのは、『夜間飛行』だ
この勇ましさに、あやかりたくなるんだろうか

“さて今、こうして夜警のように、夜の真っただ中にいて、
彼は、夜がみせている、あの呼びかけ、あの灯、あの不安、
あれが人間の生活だと知るのだった。
影の中の一つの星、あれは離れ家だ。
星の一つが消えた、あれは愛の上に閉ざされる一軒の家だ。”



取るに足らないわたしにも、
きちんと存在する、一軒の家、小宇宙

眠れない夜に、ひっそりとやりたいことなら、
数えきれないほど、ある