予約注文して出張中に届いていた本をやっと開き
姪のブランケットを編み進める

部屋での休日は、いったいいつ以来だろう
どうしても出入りなく過ごすというのは難しいけれど、
やっぱり、自分のソファでの時間は何にもかえがたい


そんなことを思っていたら、
スウェーデンの取引先から、急ぎのメール
そういえば、きょうは国葬でバンク・ホリデーのイギリスはともかく、
スウェーデンでは普通の月曜日だったと思い出す

送られてきた内容と手もとの在庫のリストを確認して、
頭を切り替え、返信を書きはじめる
この仕事はいつもこんな風で、
まあ、これが、愛しくもあるのだった

 

イギリスでの二週間を終え、
なんとかかんとか、無事に帰ってきた

帰りは飛行機自体は余裕があったものの、
羽田の税関で長い時間がかかり、伊丹行きの便に乗り遅れた
乗り換え時間は充分だと思っていたけれど、
こういうことも起こり得るのだな

その後、三日間、
自主隔離をしながら朝から晩まで仕事をして
土曜日から、店を開けた
旅立っていくものものを見送る、怒涛のような日々は
身体的には本当に本当にしんどかったけれど、
あらためてこの仕事の楽しさを感じられるものだった

いつまで自分を酷使していられるかしら、という気持ちと
行けるところまで、こうして行きたいという思いが混ざる
出張帰りらしい、数日

 

テレビ画面の中のロンドンは、
つい一週間前まで自分がいたところとは別物のようだ
思い出を語る気にもなれないほど、
遠い、遠い街のよう

それだけ、わたし自身がまだ、
女王のいないイギリスを受け入れられていないということだろうか


残った紙幣とコインを眺め、
つぎに行くときのイギリスを想像して、止める

それぞれちょうど一枚ずつあった、5ポンド、10ポンド札を
ほかの旅先の紙幣と一緒に、財布のポケットにそっと仕舞った
意識することもほとんどなかった肖像を、
こうして取っておこうと思う日が来るとはね

静かに、BBCの映像を眺める
いったい、どれほどの人が同じ場面を見ているのだろう

降りしきる台風の雨のなか、
遠く、遠くに、思いを馳せて