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夕暮れどき
積み上がるデスクワークに嫌気がさして、
カフェででもやろうかと、外に出た

ぷくぷくと雲が浮かぶ、グラデーションの空を見上げると
今度は屋内に入りたくなくなり、結局、川辺へ
ベンチでひとり、ラップトップと資料を広げる

虫と鳶の声、
誰かが練習している三味線の音
風上に顔を向けて、秋の匂いを吸い込む

今のわたしは、絶望をかき消さなくてはいけないくらいには忙しく、
風景は、ちっぽけなわたしには構わず穏やかだ


この仕事をしていると、出かけていった先で、
天気がいいから外の公園で打ち合わせしよう、となることがよくあった
青空の下、コーヒーやアイスクリームを手に、商品の話をするのは
話題の中心にあるのが愉しいものだと考えると、
むしろ適切だという気がする

大学のころも、グループワークの打ち合わせなどは
構内や公園の芝生に座ってすることが多かったな
最初は、なんとなく気が抜けてしまうような気がして、
後ろめたさを感じたものだったけれど
いつからか、のびのび話ができるようになった

遠くまで行くことができない今
わたしは、ここでひとりでも
天井も壁もない場所がくれるものの大きさを、
あらためて、知る

 

胃腸の不調もあって、寝つけない日が続き
きょうはなるべく長く寝ようと思っていたのに、
こういう日に限って、朝一番、
仕事の電話で起こされる

まあ、でも、
繁忙期もとにもかくにも、終わりが見えてきた
あとは、販売中のカレンダーすらもまだ店頭に飾ることができていないのに、
これから続々と到着する荷物をどう片付けるかだ

ともあれ、好きな人たちの新作を届けられる日が待ち遠しい
店がいくら狭くて、場所がなくても、
美しいものは美しいわけなので


わたしにとっては、
大切に思っていた場所や、ものがなくなってしまう、9月末

寂しさを飲み込んで
淡々と、変わり目を過ごすしかないのかな