f:id:lumi31:20210521223509j:plain

 

スウェーデンからのふたつの荷物
マトリョーシカのようになっている箱を開け、
場所をつくったテーブルに、ひとつひとつ並べていく

ゆるく波立つ水のような、
風に吹かれた氷のようなガラス
そのたしかな美しさの向こうに、かの国の森を見る

 

実は、このガラス作家さんの花瓶は
3年も前に私物として購入し、ずっと使っていた
スウェーデンでの、ガラス作品を集めた展示で、
同時に、デンマークの作家さんの一輪挿しにも出会ったために
まずはそちらと取引をはじめることにしたのだった

それから、ずっと悩みながらも
うちは店の規模のわりに花瓶が多すぎるからと我慢していたけれど
昨年からのこの状況で、ますます部屋に花を飾るようになったし
彼女の作品も、さらに魅力的に進化していった
今が出会い直すときだったのだと、本当に思う

届いたたくさんの花瓶を前に、これを扱うことにしてよかった、と
まだひとつも売れていないのに、満たされている


そんなわけで、この2ヶ月ほど、密にやりとりをしていたのだけど
彼女は、メールがとてもチャーミングで
そのことも、とてもうれしかったな
書き言葉の個人差がほかの言語と比べると少ないと感じるスウェーデン語で
こんなに朗らかで、やさしい笑みを含むような文面があるのだなと
新鮮に感激するほどだった

この渦のなかでつかまえた、幸せな出会い
いつか、なつかしいマルメで顔を合わせられますように

 

f:id:lumi31:20210521223552j:plain

 

机いっぱいのガラスを、順番に眺めて
自分自身のためのひとつを、選ぶ
これがわたしだけの贅沢で、いちばんのご褒美

わたしだからできること、なんて、
そうそうないと、わかっている
そして、お客さんにはわたしは見えないほうがいい

それでも、自分の仕事を愛して
店といううつわに、自分にできる全部を注ぐんだ