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ひと月ぶりのネイルに行き
川べりをすこし歩いて、気に入りのカフェへ

食欲がないので、
昼食だというのに、スフレチーズケーキを注文
ふわふわと溶けるケーキに
安堵して、なぜか、こみ上げてくるものがある


隣の席にやってきた女性ふたりも
やっぱり、食欲がでない、と話していた
いま、気持ちが外に向かなくて、
食べることに限らず、なにかを楽しめないという人は多いだろう

疲れているのだ、と
わかってはいるけれど

 

ネイリストさんとの話も
きょうは、ほぼコロナ一色

ともにちいさな自営業で、人と接する仕事
ネイリストさん曰く、
“仕事で大事にしていることと絶対に嫌なことが似ている”わたし達は
こういうとき、かなりの思考を、
ほぼ齟齬がなく共有できるという気がする


彼女は、気をつけすぎなくらいのわたしよりもはるかに厳しく
外で食事をとるときには徹底してアルコール消毒をして
先日に予定していた旅行はもちろん、
別に暮らしているお母さんとの食事も断ったと言っていた
そこまでする!?というくらいやって、やっと後悔しないレベル、
いま体調を崩すと失うものが大きすぎる、という話に
ほんとうに、頷くしかなかった

わたしも、昨夜
今週末の恋人との予定を、キャンセルした
1月からずっと、とてもとても楽しみにしていた2日間だったので
ほろほろと泣き、電話の向こうの彼を慌てさせてしまった

だけど、東京から京都へ移動してくる彼のリスクはもちろん
ひとりで仕事をするわたしにも万一のことがあった場合、
わたしも彼も、きっと後悔するだろうから
それを思うと、会ってもきっとどこか楽しめない
そう、話し合って決めた

それでも、とにかく
ネイリストさんとにしても、彼とにしても
守りたいものが似ている人、あるいは理解してくれる人と、
こうして気持ちを分け合える、というのは
それだけで幸運なことだ


ほんまに、信頼を失うのなんて一瞬やで、
やし、やりすぎってくらい徹底してやらんとな、と
わたしの爪の上で作業をしながら言い切るネイリストさんの、伏せた目もとに
思わず、見とれる

意志を優先させる彼女を尊敬しているし
わたしも、やっぱり、そうありたい

そして、今、わたしが大事な人たちの安全の次に守りたいものは
彼女と同じように、仕事で
わたし以外のほとんどの人にとっては取るに足らない、
一瞬で吹き飛ぶような小さな店なのだ

今できるのは、時間をかけて、
取引先のみなと一緒に、この先を考えることと
なんとかして、心配の芽を摘むことだけ

 

この数ヶ月のうちに
新型ウィルスの、直接、もしくは間接的な影響で
これまで懸命に育ててきたものを失う人が
たくさん、本当にたくさん、出てしまう

わたしだって、自分の店のために“出かけない”ことで
誰かに大切なものを失わせることに、加担してしまう
考えてもつらくなるだけだとわかってはいても、
考えては、つらくなる


だけど、いつもいつも言っているみたいに
目の前のことをひとつずつやることしか、わたしにはできない
たとえ、それが誰かにとっては毒でしかなくても、
自分なりの誠実さを求めていくしかないのだ、きっと

正解がないのか、多くの正解があるのか、ということは置いておいて
とくにこの件に関しては、正解と思うことが人によって大きく違う、
そのことは忘れないように

いやいや、毎日毎日これを突きつけられるなんて、
ほんとうに難儀なことだ

 

明日から、また、営業日
いったい、どんな3日間になるのだろう

不安な気持ちも大きいけれど、
開き直って、明るく
お客さんに、楽しんで帰ってもらえればいいな