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ひとり、机に向かい
発注のことを、考える

カクカクと切り取られた、中庭の空は
17時になろうとしているのに、夕方の色がまだ薄い
ずいぶん、日が長くなったものだ


“もうすこしだけ、待って”と
自分の中から、考えもしなかった声が聞こえる

息を吸って、吐き
スピーカーを立ち上げ、プライベートのSpotifyに繋ぐ
音がないと耐えられない、と思ったのは
そういえば、ひさしぶりのことだった

 

 

Spotifyからわたしへのおすすめで流れてきたのは
The Nationalの新譜

わたしに、The Nationalを教えてくれた子のことを思い
オーバーヒートしていた頭が、ふと、止まる

もともとロンドンで知り合った友人たちが好きで
それで、ときどき聴くようになったアーティストの曲には
はじめて聞くものでも、
寂しさにすこし似た、恋しさを感じる

 

日に日に悪くなる状況のなか
来る日も来る日も、膨大なメールのやりとりをしている
もはや、日本語を使っている時間よりも
英語を使っている時間のほうが長い

ものを作っている人たちも、ヴィンテージのディーラーも
事情は、ほんとうにさまざまだ
現在進行形で作業ができない、倉庫へ行けない、ということもあるし
いまは自宅勤務でほぼ全ての仕事ができる場合も
在庫もしくは材料がなくなれば、
休むことを余儀なくされそう、ということもある

彼らを支えられたらと奮闘しているものの
出張ができず、思うようにはものも入ってこないとなると
当然、わたしのほうでも長期的に経営が大変になる
それに、今後もし休業することを強いられた場合にも
店がなんとか持ちこたえられるようにしないといけない

どんな無理難題よ、と、もはや笑ってしまうけれど
まあ、とにかく、やるしかないんだぜ

 

あれこれと計算をしていたら、新着メール
ロンドンの大学からで、
新型コロナウィルス研究のファンドを立ち上げたとのことだった

概要を読み、すぐに寄付をする
卒業した大学のことを信じている、というのは
こういうときに一切迷わないので良い


どうか、一日も早く
状況がよくなりますようにと、願いつつ

とてもとても小さくても
わたしにできることを、探すだけ