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店を開ける直前
いつものように掃除機をかけ、ものを見回す

床に、剥がれたような、小さなガラスのかけら
まわりを見てみると、
カップのガラス部分が二箇所、ヒビが入って欠けていた


涙をこらえながら、カップを裏へ持っていく
とくに最近はよくあることだけれど、こういう瞬間は
商品だからしょうがない、と、思えない

1960年代の東ドイツから、
はるばる、海も時間も超えて来てくれたのに
壊れた瞬間に悲しんでももらえず
そのまま置いていかれるなんて、あんまりだ

先週も、これとまったく同じカップ
お客さんの手から落ちて、粉々になった
ちょうど、値札をつけ忘れていたのだけれど
割ってしまった方は、これがいくらのものなのか、
訊いてさえもくれなかった

もちろん、お金をいただくことはないから
どうか、もう少しだけ、ものとお店のことを考えてほしい
そう願うのは、我儘なんだろうか


こういう破損のことも、そうだけれど
勝手に商品のアップやわたしの机の写真を撮ったり
わかっていて営業時間外に来たり
訊くべきではない質問をたくさん浴びせたり
そういうお客さんが、いまは毎日、何人もいて
本当にまいってしまう

それよりもはるかに多くの方が、
やさしい言葉をくれて、笑いかけてくれていることを
つらいと、ときどき、忘れそうになる

忘れないように、と
繰り返し、繰り返し

 

眠ってもうなされて
暗いアドベント・サンデー

ろうそくに火を灯すように
また、すこしずつ、
ガチガチになってしまった心をほぐしていく

明日から、うんと愉しく
ぜんぜん簡単ではないけれど、
それでも、そうしたい、と思っている