ディック・ブルーナの故郷
ユトレヒト

近代的な駅前の写真を見たことがあったので
かなりの都会を想像していたら
こじんまりとした美しい街で、驚く
うれしい誤算

夕方になるまで
なかなか、ゆっくりする時間はないけれど
それでも、青空の下、運河沿いを歩いて移動するだけで
なんとも幸せな気持ちになるものだ




ほの暗いなか
あれでもないこれでもないと、ものを手にとっては戻す

棚に無造作に置かれたスピーカーから
エイミー・ワインハウス
穴倉のような倉庫の壁に、反響して
ちいさなライブハウスのよう

いつかのロニー・スコッツが過って
フッと手をとめ
いい選曲ね、と、口にする

こういう瞬間
自分の人生を、けっこういいなって思うんだ



認めたくなかったけれど
体調を、また、崩している

わたしは自分のことを、頑丈だと思っているけれど
ここにきて、さすがに、
自分の外側に厚く張っている、膜のようなものが
ところどころ破れてしまうようになった
身体のことも、気持ちも、そう


祈るような気持ちで過ごす、
出張中の毎日

とりあえず、今夜は
すこしでも穏やかな気持ちで、眠ろう