仕事中、頭が痺れて
ふらりと、歩きに出る

池の端
あまり綺麗とは言えない場所でも
すこし、こめかみの力は抜ける

ヘッドホンから、好きな声
ひとの声は、いつもざわざわと揺れて
ふとした一瞬に、心を揺さぶられる



革のジャケットが好きで
この季節は、それだけでうれしい
何年も着ている、キャメルのものと
去年加わった、黒のもの

ロンドンでは、革がちょうどいい季節が長くて
年によっては9月頭から11月末まで、ずっと着ていたりした
だから、質のよいものでもないわたしのキャメルは
もう、だいぶぼろになっている

花柄のワンピースにレザーのジャケット、
そしてブーツ、という格好に
いまでも不思議なほどの憧れがあるのは
やっぱり、昔々の、朋ちゃんの歌の影響かしらね



散歩をする場所が、多くある、というのは
それだけで、わたしには幸運なことだ
質のよい、考えるための時間を、得られる

ぐるぐると歩き回り
また、仕事場に戻った

足音と音楽から離れて、静けさに沈む
夕方の、終わり